【第110回薬剤師国家試験】問124 性感染症報告数の年次推移(梅毒・クラミジア・淋菌感染症) 解説

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第110回 問124
第110回 問124
理論問題|衛生
性感染症報告数の年次推移(梅毒・クラミジア・淋菌感染症)
問124(理論)
下図は性感染症報告数(男女総数)の年次推移を示しており、ア〜ウは梅毒、性器クラミジア感染症又は淋菌感染症のいずれかである。以下の記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
性感染症報告数の年次推移グラフ(1999〜2022年)。ア:最も報告数が多く1999年から2002年にピークをつけ緩やかに減少後2022年に再上昇。イ:ア同様の山型で緩やかに減少後低水準で推移。ウ:2012年頃まで低い水準だったが、2013年以降急増し2022年にはイを上回る
1
アは、淋菌感染症である。
2
イの病原体は、ウイルスである。
3
イの母子感染の経路は、主に母乳感染である。
4
ウの血液感染防止のため、献血された血液の抗体検査が行われている。
5
ウは、感染症法により、全医療機関において全数把握となっている。
正解です!
解説でア〜ウの疾患の同定と感染症法上の位置づけを確認しましょう。
×
不正解です。正解は 4、5 です。
解説でア〜ウの疾患の同定と感染症法上の位置づけを確認しましょう。
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グラフの形状から、ア〜ウの疾患を同定することが最初のポイントです。

グラフの読み取りとア〜ウの同定
:一貫して報告数が最も多い曲線 → 性器クラミジア感染症(日本で最も報告数の多い性感染症)
:アに次いで報告数が多く、2000年代前半をピークに漸減している曲線 → 淋菌感染症
:2012年頃までは低い水準だったが、2013年以降に急激に増加している曲線 → 梅毒(近年、日本国内で報告数が急増していることで知られる)
各感染症の基礎知識
・性器クラミジア感染症・淋菌感染症:病原体は細菌(それぞれクラミジア・トラコマチス、淋菌)。感染症法上は五類感染症(定点把握)に分類され、指定された定点医療機関からのみ報告される
・梅毒:病原体は梅毒トレポネーマ(細菌)。血液感染・経胎盤感染(先天梅毒)・性行為感染のいずれの経路もあり、輸血用血液の安全性確保のため献血時に抗体検査(梅毒血清反応)が実施されている。感染症法上は五類感染症(全数把握)に分類され、診断した全ての医療機関に届出義務がある(クラミジア・淋菌感染症のような定点把握とは異なる)
各選択肢の解説
× 1 アは報告数が一貫して最多であり、性器クラミジア感染症である。淋菌感染症ではない
× 2 イ(淋菌感染症)の病原体は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌であり、ウイルスではない
× 3 イ(淋菌感染症)の母子感染は、出産時に産道を通過する際に感染する経産道感染(垂直感染)が主な経路であり、新生児の淋菌性結膜炎(膿漏眼)を引き起こす。母乳感染が主ではない
◯ 4 ウ(梅毒)は血液感染のリスクがあるため、輸血用血液の安全性を確保する目的で献血された血液に対して梅毒抗体検査が実施されている。正しい記述である
◯ 5 ウ(梅毒)は感染症法上の五類感染症のうち、全数把握対象疾患に指定されており、診断した全ての医療機関に届出義務がある(性器クラミジア感染症・淋菌感染症は定点把握であり、指定された定点医療機関のみが報告する)。正しい記述である
引っかけポイント:
・選択肢1〜3:グラフの3本の曲線(ア・イ・ウ)を、報告数の大小関係と近年の増加傾向(梅毒の急増)から正しく同定することが前提となる。近年のニュース等で話題になる「梅毒の急増」というイメージから、直感的にウ=梅毒と結びつけられるかがポイント
・選択肢5:性器クラミジア感染症・淋菌感染症(定点把握)と梅毒(全数把握)の把握方法の違いを正確に区別する。グラフの縦軸ラベルにある「定点または全数」という表記もヒントになる
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

近年の梅毒報告数の急増は大きな社会的関心を集めています。梅毒は早期であれば駆梅療法(ペニシリン系抗菌薬)で治癒可能な疾患ですが、感染に気づかず放置すると、皮膚症状の消失後も体内で進行し、晩期には神経梅毒や心血管梅毒などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。

また妊婦が感染すると胎児への経胎盤感染により先天梅毒を引き起こすリスクがあるため、妊婦健診での梅毒血清反応検査は非常に重要です。薬局でも、性感染症検査キットの相談を受けた際は、早期受診の重要性とパートナーも含めた検査・治療の必要性を伝えることが大切です。

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