【第110回薬剤師国家試験】問126 新生児マススクリーニングとタンデムマス法によるアシルカルニチン測定 解説

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第110回 問126
第110回 問126
理論問題|衛生
新生児マススクリーニングとタンデムマス法によるアシルカルニチン測定
問126(理論)
新生児マススクリーニングの対象疾患のうち、タンデムマス法によるアシルカルニチンの測定結果により診断されるのはどれか。2つ選べ。
1
ガラクトース血症
2
先天性甲状腺機能低下症
3
中鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(MCAD欠損症)
4
フェニルケトン尿症
5
プロピオン酸血症
正解です!
解説でタンデムマス法の測定対象(アミノ酸 vs アシルカルニチン)の違いを確認しましょう。
×
不正解です。正解は 3、5 です。
解説でタンデムマス法の測定対象(アミノ酸 vs アシルカルニチン)の違いを確認しましょう。
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タンデムマス法(タンデム質量分析法)は、新生児のろ紙血中のアミノ酸アシルカルニチンを同時に測定することで、多数の先天代謝異常症を一度にスクリーニングできる検査法です。測定対象がアミノ酸なのかアシルカルニチンなのかによって、対象疾患のカテゴリーが異なります。

タンデムマス法の測定対象と対象疾患の分類
アミノ酸代謝異常症(血中アミノ酸の異常で診断):フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症 など
有機酸代謝異常症(血中アシルカルニチンの異常で診断):プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、イソ吉草酸血症 など
脂肪酸代謝異常症(血中アシルカルニチンの異常で診断):中鎖アシルCoA脱水素酵素欠乏症(MCAD欠損症)など
・タンデムマス法で測定できない疾患(従来法で個別に検査):ガラクトース血症(酵素活性・代謝物測定)、先天性甲状腺機能低下症(TSH測定)、先天性副腎過形成(ホルモン測定)
各選択肢の解説
× 1 ガラクトース血症は、ガラクトース代謝関連酵素の活性や血中ガラクトース濃度を測定して診断するものであり、タンデムマス法(アミノ酸・アシルカルニチン測定)の対象ではない
× 2 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は、血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定して診断するものであり、タンデムマス法の対象ではない
◯ 3 MCAD欠損症は脂肪酸代謝異常症の代表であり、中鎖脂肪酸由来のアシルカルニチン(C8アシルカルニチン等)の上昇を、タンデムマス法によるアシルカルニチン測定で検出して診断する
× 4 フェニルケトン尿症はタンデムマス法の対象疾患ではあるが、診断の指標となるのは血中フェニルアラニン(アミノ酸)の上昇であり、アシルカルニチンの測定結果によるものではない
◯ 5 プロピオン酸血症は有機酸代謝異常症の代表であり、プロピオニルCoA由来のアシルカルニチン(C3アシルカルニチン等)の上昇を、タンデムマス法によるアシルカルニチン測定で検出して診断する
引っかけポイント:
・選択肢1・2:「新生児マススクリーニングの対象疾患である=タンデムマス法で測定される」と短絡的に考えないよう注意。ガラクトース血症・先天性甲状腺機能低下症・先天性副腎過形成は、マススクリーニングの対象ではあるが従来法(酵素・ホルモン測定)で検査される
・選択肢4:フェニルケトン尿症は「タンデムマス法の対象疾患」ではあるが、本問で問われているのは「アシルカルニチンの測定結果により診断される」疾患であり、フェニルケトン尿症はアミノ酸(フェニルアラニン)の測定によるものである点を区別する。「タンデムマス法対象=すべてアシルカルニチンで診断」という誤解に注意する
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

MCAD欠損症などの脂肪酸代謝異常症の患児は、発熱などで食事が摂れず飢餓状態(絶食)になると、通常働くはずの脂肪酸のβ酸化によるエネルギー産生ができず、低血糖や急性脳症を起こすことがあります。マススクリーニングで早期に発見できれば、「長時間の絶食を避ける」「体調不良時にはブドウ糖を含む輸液を行う」といった対応で発症を予防できます。

実務では、こうした先天代謝異常症の患児の保護者から、市販の解熱鎮痛薬や風邪薬について相談を受けた際、絶食を伴う体調不良時の対応(早めの受診・補食の重要性)について助言できると、より安全な服薬指導につながります。

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