【第111回薬剤師国家試験】問138 大気汚染物質A・Bの年平均濃度と環境基準達成率 解説

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第111回 問138
第111回 問138
理論問題|衛生
大気汚染物質A・Bの年平均濃度と環境基準達成率
問138 表は、ある大気汚染物質の2010〜2020年度における年平均濃度と環境基準達成率を示している。大気汚染物質A及びBに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
大気汚染物質A・Bの年平均濃度と環境基準達成率の表

一般局:一般環境大気測定局、自排局:自動車排出ガス測定局(総務省統計局 日本の統計2025のデータを基に作成)

1
A及びBは、いずれも一次生成物質である。
2
Aは、光化学スモッグの原因となる酸化性物質の総称で、組成の大部分はオゾンである。
3
Aの発生状況を把握するために、メタンが常時測定されている。
4
Bは、粒子状物質のうち空気動力学径が10μm以下のものと定義されている。
5
A及びBを低減するために、固定発生源からの揮発性有機化合物の排出基準が設定されている。
正解です!
大気汚染物質の特徴と規制の仕組みを正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 2 と 5 です。
解説で大気汚染物質A・Bの同定と特徴を確認しましょう。
解説を見る
表からの読み取り:A・Bの同定
A:単位がppm、環境基準達成率が極めて低い(0〜0.2%)→ 光化学オキシダント(Ox)
 光化学オキシダントは大気中で二次生成される酸化性物質で達成が困難
B:単位がμg/m³、達成率が2010年の32%→2020年の98%と大幅改善 → PM2.5(微小粒子状物質)
 PM2.5は2009年に環境基準が設定され、対策強化で達成率が向上

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 A・B:いずれも一次生成物質 × A(光化学オキシダント)はNOxや揮発性有機化合物(VOC)が太陽紫外線と反応して生成する二次生成物質B(PM2.5)も一次粒子(直接排出)と二次生成粒子(SOxやNOxが大気中で変化)の両方を含む。いずれも「いずれも一次生成物質」は誤り
2 ★ A:光化学スモッグの酸化性物質の総称→大部分はオゾン 光化学オキシダント(Ox)はNOxとVOCが紫外線のもとで反応して生成する酸化性物質の総称。オゾン(O₃)が組成の大部分(約90%以上)を占め、PAN(過酸化アセチルナイトレート)なども含まれる。達成率が極めて低い(0〜0.2%)のも特徴
3 Aの発生状況把握のためメタンを常時測定 × 光化学オキシダント(A)の前駆物質として重要なのはNOx(窒素酸化物)VOC(揮発性有機化合物)非メタン炭化水素(NMHC)がVOCの指標として常時測定されている。メタン自体は光化学反応に関与しにくく、大気汚染の指標としては使われない
4 B:空気動力学径10μm以下の粒子状物質 × PM2.5の定義は空気動力学径2.5μm以下の微小粒子状物質。10μm以下はPM10(浮遊粒子状物質:SPM)の定義。PM2.5はSPMよりもさらに小さく、肺の深部(肺胞)まで到達するため健康影響が大きい
5 ★ A・B低減のため固定発生源からのVOC排出基準が設定 ◯ VOCはA(光化学オキシダント)とB(PM2.5の二次生成)両方の前駆物質。大気汚染防止法の改正(2006年)により、塗装・印刷・接着剤製造などの固定発生源からのVOC排出規制が導入された。A・B両方の低減に有効な対策として位置づけられている
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢1:光化学オキシダント・PM2.5はいずれも二次生成を含む。「いずれも一次生成」は誤り
選択肢3:Oxの前駆物質の指標は「メタン」ではなく非メタン炭化水素(NMHC)
選択肢4:10μm以下はSPM(PM10)。PM2.5は2.5μm以下
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

PM2.5は気管支喘息・COPDの増悪因子として重要です。環境省の「PM2.5に関する暫定指針値」(1日平均値70μg/m³超で外出自粛)を患者さんに伝えると具体的な生活指導になります。喘息・COPD患者さんには高濃度日の外出を控え、やむを得ない場合は、吸入薬の携帯を忘れないように伝える必要があります。

光化学オキシダント(A)の環境基準達成率がほぼ0%という現実は、現行の対策では不十分であることを示しています。光化学スモッグ注意報が発令された日には、喘息患者さんへの屋外活動制限の指導が必要です。

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