【第111回薬剤師国家試験】問137 COD・BODとその試験法 解説

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第111回 問137
第111回 問137
理論問題|衛生
COD・BODとその試験法
問137 化学的酸素要求量(COD)及び生物化学的酸素要求量(BOD)とその試験法に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
生活環境の保全に関する環境基準において、湖沼及び海域ではCOD、河川ではBODがそれぞれ定められている。
2
公共用水域(湖沼、海域、河川)のうち、COD又はBODの環境基準達成率が最も高いのは湖沼である。
3
酸性高温過マンガン酸法によりCODを測定する際に硝酸銀を加えるのは、水中のCl⁻を汚濁として評価するためである。
4
ウィンクラー法を用いてBODを測定する際に植種水を加えるのは、好気性微生物を補給するためである。
5
水中の有機物の種類によらず、CODとBODの間には、比例関係が認められる。
正解です!
COD・BODの環境基準と測定法を正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 1 と 4 です。
解説でCOD・BODの適用水域と試験法を確認しましょう。
解説を見る
COD・BODの基本整理
COD(化学的酸素要求量):過マンガン酸カリウム等の酸化剤で有機物を化学的に酸化するのに要する酸素量。湖沼・海域の環境基準に使用
BOD(生物化学的酸素要求量):好気性微生物が有機物を分解するのに要する酸素量(20℃・5日間培養)。河川の環境基準に使用
・環境基準達成率(令和5年度):河川が最も高い(約94%)、湖沼が最も低い(約53%)

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 ★ 湖沼・海域→COD、河川→BODが環境基準 ◯ 環境基本法に基づく生活環境の保全に関する環境基準において、河川にはBOD湖沼・海域にはCODが適用される。河川は流れにより自浄作用が強く生物分解が起きやすいためBODが適切。湖沼・海域は滞留時間が長く化学的測定のCODが用いられる
2 環境基準達成率が最も高いのは湖沼 × 達成率が最も高いのは河川(約94%)。最も低いのは湖沼(約53%)。湖沼は水の入れ替わりが少なく富栄養化が進みやすいため改善が難しい。海域は中間程度(約80%)
3 COD測定に硝酸銀を加えるのはCl⁻を汚濁として評価するため × 逆。硝酸銀はCl⁻と反応してAgClとして沈殿させ、Cl⁻を測定系から除去する(マスキング)ために加える。Cl⁻は過マンガン酸カリウムと反応してCOD値を見かけ上高くしてしまうため、Cl⁻の干渉を排除するのが目的
4 ★ BOD測定に植種水を加えるのは好気性微生物を補給するため ◯ BODは好気性微生物による有機物分解で消費される酸素量を測定する。被検水中に微生物が少ない場合(工場排水・塩素処理後の水など)に植種水(下水や河川水を希釈した微生物源)を加えて好気性微生物を補給することで正確な測定が可能になる
5 有機物の種類によらずCODとBODは比例関係 × CODとBODの比(BOD/COD比)は有機物の種類によって大きく異なる。易生分解性有機物はBODが高くCODに近い値になるが、難生分解性有機物(農薬・界面活性剤など)はBODが低くCODとの乖離が大きい。普遍的な比例関係は成立しない
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢2:達成率が最も高いのは「湖沼」ではなく河川。湖沼は最も低い
選択肢3:硝酸銀はCl⁻を「汚濁として評価」ではなく干渉を除去(マスキング)するために加える
選択肢5:COD/BOD比は有機物の種類により大きく異なる。難生分解性物質では乖離が大きい
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

COD・BODは水質汚濁の代表的な指標として衛生薬学の頻出テーマです。覚え方のポイントは「湖沼・海域はCOD(止まった水=化学で測る)、河川はBOD(流れる水=生物で測る)」です。

湖沼の環境基準達成率が低い背景には、農業・生活排水由来の窒素・リンによる富栄養化があります。アオコ(藍藻類の異常増殖)が発生すると水道水の異臭の原因となり、一部の藍藻はマイクロシスチンなどの肝毒素を産生するため公衆衛生上の問題にもなります。

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