【第111回薬剤師国家試験】問136 微生物を用いた下水処理法 解説

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第111回 問136
第111回 問136
理論問題|衛生
微生物を用いた下水処理法
問136 微生物を用いた下水処理法に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
嫌気性微生物を用いた処理は、余剰汚泥の処理に用いられる。
2
嫌気性微生物を用いた処理によって発生したメタンガスは、燃料として用いられることがある。
3
嫌気性微生物は、有機物濃度が高い排水の処理には用いられない。
4
標準活性汚泥法の曝気槽では、主に嫌気性微生物が有機物を分解する。
5
嫌気・無酸素・好気法では、無酸素槽でリン蓄積菌がリンを取り込むことで、下水中のリンを除去することができる。
正解です!
下水処理における嫌気・好気プロセスを正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 1 と 2 です。
解説で各処理法の微生物と役割を確認しましょう。
解説を見る
下水処理の主なプロセス整理
標準活性汚泥法:曝気槽に空気を送り込み好気性微生物が有機物を分解 → 最終的に余剰汚泥が発生
嫌気性消化(メタン発酵):余剰汚泥を嫌気的に分解 → メタンガス(CH₄)が発生 → 燃料・発電に利用可能
嫌気・無酸素・好気法(A²O法):嫌気槽でリン蓄積菌がリンを放出 → 好気槽でリン過剰取り込み → リン除去。無酸素槽では脱窒(硝酸→窒素ガス)

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 ★ 嫌気性微生物:余剰汚泥の処理に用いられる ◯ 活性汚泥法で発生した余剰汚泥は、嫌気性消化槽で嫌気性微生物(メタン菌など)により分解される。汚泥の減量化と同時にメタンガスが生成される
2 ★ 嫌気性処理→メタンガス発生→燃料として利用 ◯ 嫌気性消化で生成される消化ガス(主成分はメタン CH₄ 約60〜70%)は、下水処理場内のボイラー・発電機の燃料として利用されることがある。再生可能エネルギーとしての活用も進んでいる
3 嫌気性微生物:有機物濃度が高い排水には用いられない × 逆。嫌気性処理は有機物濃度が高い排水(高負荷廃水)に適している。食品工場排水・し尿・余剰汚泥など高COD排水に有効。好気性処理(活性汚泥法)は有機物濃度が低〜中程度の下水に適する
4 標準活性汚泥法の曝気槽:嫌気性微生物が有機物を分解 × 曝気槽は空気(酸素)を強制的に供給する槽であり、好気性微生物が有機物を分解する。嫌気性微生物は酸素のない環境で活動するため、曝気槽では機能しない
5 嫌気・無酸素・好気法:無酸素槽でリン蓄積菌がリンを取り込む × A²O法では、リン蓄積菌は嫌気槽でリンを放出し、好気槽でリンを過剰に取り込む。無酸素槽の主な役割は脱窒(脱窒菌が硝酸・亜硝酸を窒素ガスに還元)であり、リン除去ではない
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢3:嫌気性処理は高濃度有機物に「向いていない」ではなく、むしろ高負荷排水に適している
選択肢4:曝気槽(空気あり)=好気性微生物。嫌気性は酸素なし環境
選択肢5:A²O法でリンを取り込むのは好気槽。無酸素槽は脱窒(窒素除去)の場
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

下水処理は直接的な薬剤師業務とは離れていますが、水質汚濁と健康影響の観点から衛生薬学の重要テーマです。リンや窒素の除去は富栄養化(アオコ・赤潮)の防止につながり、水道水の安全性にも関わります。

下水処理場で回収した消化ガス(メタン)を電力・熱に変換する取り組みは、下水処理場のカーボンニュートラル化の一環として全国で進められています。薬局でも環境・SDGsへの関心が高まる中、こうした背景知識があると患者さんとの会話の幅が広がります。

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