7歳男児。身長124 cm、体重25 kg。母親によると、患児は食後に「喉が熱い感じがする」と訴えることが多く、夜間に咳き込んだり、胸をさする仕草をせたりすることがある。また、酸っぱいものを吐き戻すことがあり、体重減少はないが、食欲が少し落ちているとのこと。医師の診察により逆流性食道炎と診断され、ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩の細粒剤(アルタット細粒20%(注))が処方されることになった。
本処方製剤には苦味のある有効成分が含まれている。患児及び母親への服薬指導を実施する際、処方された細粒剤とそのカプセル剤の製剤及び薬物動態を確認し、以下の情報を得た。
(1) 生物学的同等性試験(健康成人男子へのクロスオーバー単回75 mg経口投与)
(2) 有効成分の原末及びカプセル剤を経口投与した後の血漿中濃度及び薬物動態パラメーターの比較(健康成人5名)
注:アルタット細粒20%の組成及び特性
- ・有効成分:ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩 200 mg/g
- ・添加物:結晶セルロース(粒)、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、クエン酸トリエチル、タルク、D-マンニトール、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、アセスルファムカリウム、含水二酸化ケイ素、香料
- ・特性:日本薬局方一般試験法「製剤の粒度試験法」により試験するとき、18号(850 µm)ふるい及び30号(500 µm)ふるいを全量通過した。
【問284】アルタット細粒20%の製剤特性
| 選択肢 | 記述 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 ★ | カプセル剤と生物学的に同等 | ◯ (1)のグラフより、絶食時・食後ともにAUC及びCmaxの比がlog(0.80)〜log(1.25)の範囲内。生物学的同等性の判定基準を満たしており、細粒剤とカプセル剤は生物学的に同等である。 |
| 2 | カプセル剤と比較して食事の影響を受けやすい | × (1)のグラフより、絶食時・食後ともにAUC・Cmaxともに同等の範囲内。細粒剤とカプセル剤で食事の影響に差はない。 |
| 3 | 速放性の製剤である | × コーティングが施されており、(2)の表よりTmaxがカプセル剤(細粒と同等)で3.0 hと遅延している。速放性ではなく徐放性寄りの放出プロファイルを示す。 |
| 4 ★ | コーティングと甘味剤で苦味マスキング | ◯ 組成欄より、苦味マスキングのためエチルセルロース等によるコーティングが施されている。また甘味剤としてアスパルテーム・アセスルファムカリウムが添加されており、両者で苦味がマスキングされている。 |
| 5 | 飲みにくい場合は微粉砕する必要がある | × コーティングを施した製剤を微粉砕すると苦味マスキングが破壊される。服薬困難な場合はそのままゼリー等に混ぜる等の方法を検討し、微粉砕は避ける。 |
・選択肢2:(1)のグラフは絶食時・食後ともに同等であることを示しており、細粒剤がカプセル剤より食事の影響を受けやすいとは読み取れない。
・選択肢3:コーティング処理でTmaxが遅延している=速放性ではない。
・選択肢5:コーティング製剤の微粉砕は苦味マスキング破壊につながる。「飲みにくければ砕く」という誤った直感に注意。
【問285】小児への投与量計算
患児の体重:25 kg(30 kg未満)→ 1回用量:37.5 mg、1日2回
1日用量:37.5 mg × 2回 = 75 mg/日
アルタット細粒20%:1 g中にロキサチジン酢酸エステル塩酸塩 200 mgを含有
1日量(製剤量):75 mg ÷ 200 mg/g = 0.375 g(選択肢4)
・体重30 kg未満か以上かで用量が変わる。25 kgは30 kg未満なので1回37.5 mg。
・問題文は「1日量(製剤量)」を問うており、1回量(0.1875 g)との混同に注意。
・「細粒20%」は200 mg/g含有。mg→gの換算(÷1000)を忘れずに。


ロキサチジン(アルタット®)について:成人領域のH2受容体拮抗薬の中では近年使用頻度は高くありませんが、小児領域では安全性のエビデンスから現在でも細粒剤として重宝されており、小児の逆流性食道炎・胃潰瘍に使われることがあります。苦味マスキングのコーティングが施されているため、水に溶かしたり砕いたりすると苦くなることがある点を保護者に伝えましょう。
生物学的同等性試験の実務的意義:後発医薬品への変更可否の判断に用いられます。AUCとCmaxの90%信頼区間がlog(0.80)〜log(1.25)の範囲内であれば「同等」です。先発・後発の切り替え時に患者さんへ変更をお伝えする際の根拠になります。
小児の服薬指導のポイント:7歳の患者には薬の味が服薬アドヒアランスに直結します。細粒剤が水やゼリー等に混ぜて服用できるか(食品との相互作用なし)を確認し、保護者と具体的な飲ませ方を決めることが重要です。食後服用のため、毎食後のルーティン化を提案しましょう。










