【第110回薬剤師国家試験】問107 ブレオマイシンA₂のDNA切断機構 解説

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第110回 問107
第110回 問107
理論問題|化学
インスリンアナログ製剤の構造と等電点
問107(理論)
下図は、インスリンの構造を模式的に示している。図中の◯はアミノ酸残基を示し、特徴のあるアミノ酸残基を3文字表記している。
インスリンの構造模式図(A鎖・B鎖)
近年、インスリンの化学構造を部分的に改変することで、治療目的に沿った血糖降下作用を発揮するインスリンアナログ製剤(1〜5)が開発されている。このうち、構造改変によりインスリンの等電点(pI 約5.4)を中性付近(pI 約6.7)に近づけることにより、生理的pHで等電点沈殿を起こし、皮下で徐々に溶解、吸収され、1日1回の皮下投与で安定した血糖降下作用を示すのはどれか。1つ選べ。

なお、各アナログ製剤の構造はインスリンと同様な方法で図示しており、図中のはインスリンと異なるアミノ酸残基を示す。
1
選択肢1のインスリンアナログ構造
2
選択肢2のインスリンアナログ構造
3
選択肢3のインスリンアナログ構造
4
選択肢4のインスリンアナログ構造
5
選択肢5のインスリンアナログ構造
正解です!
解説でインスリンアナログの構造改変と作用機序を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 2 です。
解説でインスリンアナログの構造改変と作用機序を確認しましょう。
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選択肢2は、A鎖21位のAsn(アスパラギン)→Gly(グリシン)への置換、およびB鎖C末端(30位Thrの後)にArg(アルギニン)を2残基付加した構造を示しています。これはインスリングラルギンの構造改変に相当します。アスパラギンをグリシンに変えることで酸性条件下での脱アミド化を防ぎ、さらに塩基性アミノ酸であるアルギニンを2つ追加することで、インスリンの等電点を酸性側(約5.4)から中性付近(約6.7)へシフトさせています。

インスリングラルギンの作用機序
・等電点を生理的pH(約7.4)に近づけることで、皮下注射後(中性環境)に等電点沈殿を起こし、微結晶として析出する
・この微結晶が皮下組織中で徐々に溶解することにより、インスリンがゆっくりと吸収され、ピークのない安定した持効的な血糖降下作用が得られる
・製剤自体は酸性の溶液(pH約4付近)として保存されており、体内(中性環境)に入って初めて等電点沈殿が起こる、という設計上の工夫がなされている
・1日1回の皮下投与で安定した効果を発揮するため、基礎インスリン補充療法に用いられる
各選択肢の解説(インスリンアナログの構造改変と代表薬)
× 1 B鎖28-29位のPro-Lys→Lys-Pro(順序入替):インスリンリスプロに相当。会合しにくくなることで速効性を示す構造改変であり、等電点シフトによる持効化とは異なる機序
◯ 2 A21 Asn→Gly、B鎖C末端にArg×2付加:インスリングラルギンに相当。等電点を中性付近にシフトさせ、皮下での等電点沈殿により持効性を実現する、まさに問題文の記述に一致する構造改変
× 3 B3 Asn→Lys、B29 Pro→Glu:インスリングルリジンに相当。会合しにくい構造とすることで速効性を実現する改変であり、等電点シフトによる持効化とは異なる
× 4 B29 Lys側鎖に脂肪酸(ミリスチン酸様)をグルタミン酸リンカーを介して結合:インスリンデテミル(または類縁の脂肪酸修飾型インスリン)に相当。血中アルブミンとの可逆的結合により持効性を発揮する機序であり、等電点沈殿とは異なる持効化メカニズム
× 5 B28 Pro→Asp:インスリンアスパルトに相当。会合しにくくなることで速効性を示す構造改変
選択肢 構造改変 作用の特徴
1 B28-29 Pro-Lys入替 速効型(会合抑制)
2 ★ A21 Asn→Gly、B鎖C末端Arg×2付加 持効型(等電点シフト・沈殿)
3 B3 Asn→Lys、B29 Pro→Glu 速効型(会合抑制)
4 B29 Lysに脂肪酸鎖付加 持効型(アルブミン結合)
5 B28 Pro→Asp 速効型(会合抑制)
引っかけポイント:
選択肢4(脂肪酸修飾型):これも「持効性」を示すインスリンアナログであるため紛らわしいが、その作用機序はアルブミンとの可逆的結合による血中滞留時間の延長であり、問題文が明示する「等電点を中性に近づけて等電点沈殿を起こす」という機序とは異なる。持効性=どれも同じ機序、と一括りにしないこと
選択肢1・3・5:いずれもB鎖のC末端付近(28〜29位)のアミノ酸を改変し、インスリン六量体の会合を妨げることで単量体としての速やかな吸収(速効性)を実現する構造改変であり、持効性とは逆の目的の改変
・「等電点を中性に近づける=塩基性アミノ酸(Arg等)を追加、酸性側に傾く残基(Asn等の脱アミド化しやすい部位)を置換」という構造改変のロジックを理解しておくと、初見のインスリンアナログ構造でも判別しやすくなる
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

インスリングラルギン製剤(ランタス®等)は、酸性の澄明な溶液として供給されるため、他の薬剤や中性の輸液と混合すると等電点沈殿が起こり、薬効が損なわれるおそれがあります。服薬指導・調剤の場面では、他のインスリン製剤や薬剤との混注を避けるよう案内することが重要です。

インスリン製剤は「速効型・超速効型(会合抑制型)」と「持効型(等電点シフト型・アルブミン結合型)」に大別され、それぞれ作用機序が異なります。患者さんの血糖パターンに合わせて基礎インスリンと追加インスリンを組み合わせる「頻回注射療法(Basal-Bolus療法)」の考え方も、こうした製剤ごとの薬物動態の違いを理解することで納得しやすくなります。

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