【第110回薬剤師国家試験】問109 アコニチンの構造と含有生薬(トリカブト・ブシ) 解説

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第110回 問109
第110回 問109
理論問題|化学
アコニチンの構造と含有生薬(トリカブト・ブシ)
問109(理論)
下図はアコニチンの構造を示している。これを主要成分として含有する生薬Aに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
アコニチンの構造式(C19-ジテルペンアルカロイド、ベンゾイル基・アセチル基・複数のメトキシ基を有する)
アコニチン
1
アコニチンの骨格は、酢酸-マロン酸経路により生合成される。
2
アコニチンの窒素原子は、アミノ酸由来ではない。
3
高圧蒸気処理などの修治によってアコニチンのエステルが加水分解されて、毒性が低減する。
4
生薬Aはナス科植物の根を基原とする。
5
生薬Aを含む処方は、体力が充実している患者に適応される。
正解です!
解説で生薬Aの基原・修治・適応証を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 2、3 です。
解説で生薬Aの基原・修治・適応証を確認しましょう。
解説を見る

アコニチンは、キンポウゲ科トリカブト属植物(Aconitum属)の塊根に含まれるC19-ジテルペン(プソイド)アルカロイドです。生薬Aは、この塊根を基原とするブシ(附子)を指します。

ブシ(附子)の基本知識
・基原:キンポウゲ科ハナトリカブトまたはオクトリカブト等の塊根
・主成分:アコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなどのジテルペンアルカロイド(猛毒)
・修治(高圧蒸気処理・加熱等)によりエステル結合を加水分解し、毒性の低いベンゾイルアコニン・アコニンへと変化させたものが漢方処方に配合される
・薬能:新陳代謝機能の低下(陽虚)を温めて回復させる「回陽・温裏」作用があり、体力が低下し冷えの強い虚証の患者に用いられる(例:真武湯、八味地黄丸、麻黄附子細辛湯など)
各選択肢の解説
× 1 アコニチンはジテルペンアルカロイドであり、その骨格(ジテルペン部分)はメバロン酸経路(イソプレノイド経路)により生合成される。酢酸-マロン酸経路(ポリケチド経路)ではない
◯ 2 C19-ジテルペンアルカロイドの窒素原子は、通常のアルカロイドのようにアミノ酸の脱炭酸により生じるのではなく、エタノールアミン(β-アミノエタノール)等のアミノ基供与体に由来する。このため「プソイドアルカロイド(擬似アルカロイド)」に分類され、選択肢の記述は正しい
◯ 3 ブシは毒性が強いため、そのままでは使用できない。高圧蒸気処理などの修治によってC8位・C14位のエステル結合(アセチル基・ベンゾイル基)が加水分解され、より毒性の低いベンゾイルアコニン・アコニンに変化することで、安全に漢方処方へ配合できるようになる
× 4 生薬Aはキンポウゲ科植物の塊根を基原とする。ナス科ではない(ナス科由来の有毒植物としてはハシリドコロ・チョウセンアサガオなどがあり、混同に注意)
× 5 ブシ含有処方は、体力が低下し冷えの強い虚証の患者に用いられる。体力が充実している実証の患者への適応ではない
引っかけポイント:
・選択肢1:アルカロイド=アミノ酸由来と短絡的に考えると誤りやすいが、ジテルペンアルカロイドの「骨格」自体はテルペノイド由来(メバロン酸経路)であることに注意
・選択肢2:「アミノ酸由来ではない」という一見意外な記述だが、ジテルペンアルカロイドはプソイドアルカロイドに分類され、窒素はエタノールアミン等の非アミノ酸由来である点が正しい知識
・選択肢4:トリカブト(キンポウゲ科)とハシリドコロ・チョウセンアサガオ(ナス科)など、有毒植物の科の混同に注意する
・選択肢5:体力充実(実証)と体力低下(虚証)を逆に覚えないよう、ブシ=「温める・虚証向け」のイメージで整理する
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

ブシ末(修治済み)は、真武湯や八味地黄丸、麻黄附子細辛湯など「冷えを伴う虚証」の処方に配合される代表的な生薬です。実際の調剤現場でも、ブシ末が配合された漢方薬を服用中の患者さんに、のぼせ・動悸・舌のしびれなどの症状が出た場合は、附子中毒(アコニチン中毒)の可能性を念頭に置いて確認することが大切です。

修治によって毒性は大幅に低減されていますが、ゼロではないため、規定量を超えた自己判断での増量や、複数の附子含有製剤の重複服用には注意が必要です。

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