【第110回薬剤師国家試験】問234-235 健康フェアでの生活習慣指導とエナラプリル・メトホルミンの服薬指導 解説

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第110回 問234-235
第110回 問234-235
実践問題|衛生(234)・実務(235)
健康フェアでの生活習慣指導とエナラプリル・メトホルミンの服薬指導
問234-235(連問)共通問題文
問234-235 55歳女性。身長160 cm、体重70 kg。地域のイベントの一つとして、近所の薬局で開催された健康フェアに参加した。糖分を多く含む飲料を好み、運動習慣がほとんどなく、ここ10年来、健康診断を受けていなかった。薬局において血圧、指の穿刺血液による空腹時血糖値、HbA1c値及び総コレステロール値を測定したところ、血圧は135/85 mmHg、空腹時血糖値は120 mg/dL、HbA1c値は5.8%、総コレステロール値は220 mg/dLであった。薬剤師が受診を勧めたところ、受診前にできることとして、生活習慣の改善や特定保健用食品(トクホ)について質問された。
問234(衛生)
薬剤師の助言として適しているのはどれか。2つ選べ。
1
適度な運動習慣を身につけ、適正体重に近づけてください。
2
低タンパク質で高脂肪の食事を心がけてください。
3
血糖値が気になる方には、難消化性デキストリンを含むトクホがあります。
4
血圧が高めの方には、キシリトールを含むトクホがあります。
5
コレステロールが高めの方には、ラクトトリペプチドを含むトクホがあります。
正解です!
解説でトクホ関与成分と対象の組合せを確認しましょう。
×
不正解です。正解は 1、3 です。
解説でトクホ関与成分と対象の組合せを確認しましょう。
問235
問235(実務)
この女性は生活習慣に改善がみられず、再び健康フェアに参加した際に受診勧奨され、近医を受診した。血圧は160/95 mmHg、空腹時血糖値は145 mg/dL、HbA1c値は6.8%であった。患者は運動療法・食事療法を実施していたが、改善しなかったため、処方1と2が出され来局した。
(処方1)
エナラプリルマレイン酸塩錠5 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 14日分
(処方2)
メトホルミン塩酸塩錠250 mg
1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 14日分
薬剤師からこの患者への指導として適切でないのはどれか。1つ選べ。
1
まぶたや唇の腫れなどを認めた場合には教えてください。
2
悪心、下痢などを認めた場合には教えてください。
3
空咳などを認めた場合には教えてください。
4
副作用予防のため適度に水分を摂取してください。
5
バリウム造影剤を用いる検査は受けないでください。
正解です!
解説でエナラプリル・メトホルミンの副作用と造影剤の種類を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 5 です。
解説でエナラプリル・メトホルミンの副作用と造影剤の種類を確認しましょう。
問234の解説を見る

この女性は肥満・運動不足・清涼飲料の多飲といった生活習慣を背景に、血糖値・総コレステロール値の上昇がみられます。生活習慣の改善指導と、特定保健用食品(トクホ)の関与成分と対象となる症状との正しい組合せの理解が問われています。

トクホ関与成分と対象のポイント
難消化性デキストリン:食後の血糖値の上昇を緩やかにする働きがあり、「血糖値が気になる方」向けのトクホ関与成分として認可されている
キシリトール:虫歯になりにくい・お腹の調子を整えるなどの用途で用いられる甘味料であり、血圧を下げる作用はない
ラクトトリペプチド:ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害様作用により血圧が高めの方向けに用いられるトクホ関与成分であり、コレステロールを下げる作用は主目的ではない
・生活習慣病予防の基本は、適度な運動習慣と適正体重の維持、バランスの取れた食事(極端な低タンパク・高脂肪食は不適切)である
各選択肢の解説
◯ 1 適度な運動と適正体重管理は、生活習慣病予防の基本であり適切な助言
× 2 低タンパク質・高脂肪の食事は、脂質異常症や肥満の悪化につながりうる不適切な食事指導であり誤り
◯ 3 難消化性デキストリンは食後血糖値の上昇抑制効果を持つトクホ関与成分であり、血糖値が気になる方への助言として適切
× 4 キシリトールは虫歯予防等に用いられる成分であり、血圧を下げる効果はないため誤り
× 5 ラクトトリペプチドは血圧が高めの方向けのトクホ関与成分であり、コレステロールが高めの方向けという組合せは誤り
引っかけポイント:
・選択肢4:キシリトールという名称から「糖に関係する良い成分」というイメージだけで血圧との組合せを誤って正しいと判断しやすい
・選択肢5:ラクトトリペプチドは実際にはトクホの関与成分として存在するが、対象となる症状(血圧)が入れ替えられている点に気づけるかがポイント。トクホ関与成分は「成分名」と「効能(血糖・血圧・コレステロール等)」をセットで正確に覚えておく必要がある
💡 あわせて読みたい:トクホ成分とアレルギー表示対象食品のゴロ教えます!
問235の解説を見る

処方1のエナラプリル(ACE阻害薬)と処方2のメトホルミン(ビグアナイド系血糖降下薬)には、それぞれ特徴的な副作用があり、服薬指導ではその初期症状を患者自身が気づけるよう伝えることが重要です。

エナラプリル・メトホルミンの服薬指導のポイント
エナラプリル(ACE阻害薬)の特徴的な副作用として、ブラジキニンの蓄積による空咳(乾性咳嗽)や、まれに血管浮腫(まぶた・唇・舌などの腫れ)があり、いずれも患者に自覚症状として伝えておくべき重要な副作用である
メトホルミンは消化器症状(悪心・下痢等)が比較的頻度の高い副作用であり、また重大な副作用として乳酸アシドーシスがあるため、脱水状態を避けるよう適度な水分摂取を心がける指導が重要である
・メトホルミン投与中は、ヨード造影剤を用いる検査の際に、造影剤による腎機能低下と乳酸アシドーシスのリスクを避けるため、検査前後で一時的な休薬が必要とされることがある。しかし、バリウム造影剤(硫酸バリウム)はヨードを含まない消化管造影用の造影剤であり、メトホルミンとの相互作用や乳酸アシドーシスのリスクは特に問題とならないため、バリウム造影剤検査を一律に避ける必要はない
各選択肢の解説
◯ 1 まぶたや唇の腫れは、ACE阻害薬(エナラプリル)による血管浮腫を疑う重要な症状であり、伝えるべき指導内容として適切
◯ 2 悪心・下痢は、メトホルミンの比較的頻度の高い消化器系副作用であり、伝えるべき指導内容として適切
◯ 3 空咳は、ACE阻害薬(エナラプリル)に特徴的な副作用であり、伝えるべき指導内容として適切
◯ 4 メトホルミンは脱水により乳酸アシドーシスのリスクが高まるため、適度な水分摂取を促す指導は適切
× 5 メトホルミンとの相互作用(乳酸アシドーシスリスク)が問題となるのはヨード造影剤であり、ヨードを含まないバリウム造影剤検査を一律に避ける必要はないため、この指導は不適切
引っかけポイント:
・選択肢5:「メトホルミン服用中は造影剤検査に注意」という知識は正しいが、その対象がヨード造影剤であることを見落とし、造影剤全般(バリウム造影剤も含む)を一律に避けるべきと誤って判断しやすい
・造影剤の種類(ヨード造影剤 vs バリウム造影剤)によって注意すべき相互作用が異なる点を正確に区別できているかが問われる
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

健康フェアのような場では、検査値が「まだ受診が必要なレベルではないが要注意」という患者さんに、押しつけがましくならない生活習慣アドバイスをすることが多いです。「〜してください」と断定的に言うより、「〜を意識してみましょう」といった柔らかい表現も、地域住民向けの声かけでは効果的です。

メトホルミンと造影剤の話は、患者さんから「造影剤を使う検査は全部危ないんですよね?」と聞かれることがよくあります。ヨード造影剤とバリウム造影剤の違いをきちんと説明できると、不要な検査回避を防ぎ、患者さんの不安も解消できます。

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