【第111回薬剤師国家試験】問132 中毒原因物質の検出・患者への対応 解説

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第111回 問132
第111回 問132
理論問題|衛生
中毒原因物質の検出・患者への対応
問132 中毒原因物質の検出、又は患者への対応に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ
1
Δ⁹-テトラヒドロカンナビノールは代謝を受けやすいため、検体として用いる尿中から代謝物として検出される。
2
Δ⁹-テトラヒドロカンナビノール及びカンナビジオールの検出には、マルキス試薬が用いられる。
3
アンフェタミン及びメタンフェタミンの検出には、シモン反応が用いられる。
4
中毒原因物質の特定ができない場合に、特徴的な症状から原因物質を推定して緊急対応を行う概念を、トキシドロームという。
5
散瞳、頻脈、口渇が認められる場合は、中毒原因物質を有機リン系化合物と推定して初期の治療を開始することがある。
正解です!
中毒検出法とトキシドロームの概念を正確に把握できています。
×
不正解です。正解は 1 と 4 です。
解説で各試薬の対応物質とトキシドロームを確認しましょう。
解説を見る
主な呈色試薬と対応物質
マルキス試薬(濃硫酸+ホルムアルデヒド):モルヒネ・ヘロイン→紫〜赤紫色、アンフェタミン→橙色
デュケノア試薬(ニンヒドリン等):アミン類の検出
シモン反応メタンフェタミンに特異的(青色)。アンフェタミンには反応しない
ナルコポーチ試薬(大麻試薬):THC・カンナビノイドの検出に用いる

【各選択肢の解説】

選択肢記述判定・理由
1 ★ THC:尿中から代謝物として検出される ◯ Δ⁹-テトラヒドロカンナビノール(THC)は脂溶性が高く体内で広く分布・代謝される。主要代謝物である11-nor-9-carboxy-THC(THC-COOH)として尿中に排泄され、尿中薬物検査で検出される。代謝物は摂取後数日〜数週間検出可能
2 THC・カンナビジオール:マルキス試薬で検出 × THCやカンナビジオール(CBD)の検出にはデュケノア試薬やデュケノア・ラマール試薬(Fast Blue B塩など)が用いられる。マルキス試薬はモルヒネ・ヘロインなどのオピオイドやアンフェタミン類の検出に使用される
3 アンフェタミン及びメタンフェタミン:シモン反応で検出 × シモン反応(亜硝酸ナトリウム+アセトン)はメタンフェタミン(覚せい剤)に特異的で青色を呈する。アンフェタミンには反応しない点が重要。アンフェタミンの検出にはマルキス試薬(橙色)などが用いられる
4 ★ 症状から原因物質を推定して緊急対応→トキシドローム トキシドローム(Toxidrome)とは、中毒原因物質の特定ができない場合に、患者の特徴的な症状の組み合わせから原因物質のカテゴリーを推定して初期対応を行う概念。代表的なトキシドロームにはコリン作動性(有機リン系)・抗コリン性・オピオイド・交感神経刺激性などがある
5 散瞳・頻脈・口渇→有機リン系化合物と推定 × 散瞳・頻脈・口渇・皮膚乾燥は抗コリン性トキシドロームの特徴(アトロピン・抗ヒスタミン薬など)。有機リン系化合物(AChE阻害)の中毒では縮瞳・徐脈・流涎・発汗増加・気管支痙攣などのコリン作動性症状(SLUDGE症状)が現れる。正反対の症状
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
選択肢2:大麻(THC)はマルキス試薬ではなくデュケノア試薬等で検出。マルキスはオピオイド・アンフェタミン用
選択肢3:シモン反応はメタンフェタミン特異的。アンフェタミンには反応しない
選択肢5:散瞳・頻脈・口渇は抗コリン性。有機リン系は縮瞳・徐脈・流涎(コリン作動性)と正反対
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

トキシドロームの4分類は救急・中毒対応の基本として重要です。
コリン作動性(有機リン・カーバメート):縮瞳・徐脈・流涎・発汗・気管支痙攣(SLUDGE)
抗コリン性(アトロピン・抗ヒスタミン薬):散瞳・頻脈・口渇・皮膚乾燥・尿閉
オピオイド:縮瞳・呼吸抑制・意識障害(拮抗薬:ナロキソン)
交感神経刺激性(覚せい剤・コカイン):散瞳・頻脈・血圧上昇・発汗

①と②は縮瞳・散瞳で見分けられる点がポイントです。服薬指導でも抗コリン薬の副作用(口渇・便秘・尿閉・視力調節障害)を患者さんに伝える際に活用できる知識です。

有機リン中毒で死因に直結する症状として、「キラー・ビー(Killer B’s)」という概念があります。徐脈(Bradycardia)・気管支漏(Bronchorrhea)・気管支痙攣(Bronchospasm)の3つで、いずれも気道・循環への致命的影響を示します。救急対応ではこの3つへの対処(アトロピン大量投与・気道確保・PAM早期投与)が生死を分けるため、呼吸管理の重要性を理解しておくことが大切です。

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