第111回
問133
理論問題|衛生
化学物質の毒性試験
問133 化学物質の毒性試験に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
国際的に共通な毒性試験法ガイドラインは、経済協力開発機構(OECD)や医薬品規制調和国際会議(ICH)が作成している。
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2
発がん性試験には、細菌や培養細胞を用いて評価する方法がある。
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3
変異原性試験には、培養細胞を用いる試験法はあるが、動物を用いる試験法はない。
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4
生殖毒性試験では、被験物質を雌に投与するが、雄には投与しない。
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5
アレルゲン性試験には、マウスの耳介に被験物質を塗布して皮膚感作性を評価する方法がある。
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正解です!
各毒性試験の方法と特徴を正確に把握できています。
不正解です。正解は 1 と 5 です。
解説で各毒性試験の特徴を確認しましょう。
解説を見る
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主な毒性試験の種類と方法
・変異原性試験「3点セット」:①Amesテスト(細菌・復帰突然変異)、②染色体異常試験(培養細胞またはin vivo)、③小核試験(マウス・ラット骨髄または末梢血)の3つをセットで実施するのが一般的。異なる遺伝毒性エンドポイントをカバーすることで見落としを防ぐ
・発がん性試験:2年間慢性毒性試験(ラット・マウス)が標準。細菌・培養細胞は変異原性試験(発がん性のスクリーニング)
・生殖発生毒性試験の3ステージ:段階Ⅰ(受胎能・着床前:雌雄両方に投与)、段階Ⅱ(器官形成期・催奇形性:妊娠雌に投与)、段階Ⅲ(周産期・出生後発育:分娩〜哺育期)の3段階で評価。「雌雄両方に投与」は段階Ⅰに対応
・皮膚感作性試験:モルモット(マグソン法・ビューラー法)、マウス耳介法(LLNA)
・変異原性試験「3点セット」:①Amesテスト(細菌・復帰突然変異)、②染色体異常試験(培養細胞またはin vivo)、③小核試験(マウス・ラット骨髄または末梢血)の3つをセットで実施するのが一般的。異なる遺伝毒性エンドポイントをカバーすることで見落としを防ぐ
・発がん性試験:2年間慢性毒性試験(ラット・マウス)が標準。細菌・培養細胞は変異原性試験(発がん性のスクリーニング)
・生殖発生毒性試験の3ステージ:段階Ⅰ(受胎能・着床前:雌雄両方に投与)、段階Ⅱ(器官形成期・催奇形性:妊娠雌に投与)、段階Ⅲ(周産期・出生後発育:分娩〜哺育期)の3段階で評価。「雌雄両方に投与」は段階Ⅰに対応
・皮膚感作性試験:モルモット(マグソン法・ビューラー法)、マウス耳介法(LLNA)
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 ★ | 毒性試験ガイドライン:OECDやICHが作成 | ◯ OECD(経済協力開発機構)は化学物質の毒性試験ガイドライン(OECD TG)を、ICH(医薬品規制調和国際会議)は医薬品の安全性試験ガイドライン(ICH S1〜S9等)を作成しており、国際的に広く用いられている |
| 2 | 発がん性試験:細菌や培養細胞を用いる方法がある | × 細菌(Amesテスト)や培養細胞を用いるのは変異原性試験。発がん性試験の標準はラット・マウスを用いた2年間慢性毒性・発がん性試験(in vivo)。変異原性試験は発がん性の予測スクリーニングとして位置づけられるが、発がん性試験そのものではない |
| 3 | 変異原性試験:動物を用いる試験法はない | × 変異原性試験には動物を用いるものもある。小核試験(マウス・ラットの骨髄細胞や末梢血を用いる)や染色体異常試験(in vivo)が代表例。Amesテスト(細菌)・染色体異常試験(培養細胞)だけでなく、in vivo試験も含まれる |
| 4 | 生殖毒性試験:雌に投与するが雄には投与しない | × 生殖毒性試験では雌雄両方に被験物質を投与する。雄への投与では精子形成・精巣毒性を、雌への投与では排卵・着床・妊娠維持・胎仔発育・分娩・哺育への影響を評価する。雄のみ・雌のみに限定するわけではない |
| 5 ★ | アレルゲン性試験:マウス耳介に塗布→皮膚感作性を評価 | ◯ マウス局所リンパ節試験(LLNA:Local Lymph Node Assay)では、マウスの耳介に被験物質を塗布し、所属リンパ節(耳介リンパ節)でのリンパ球増殖を指標に皮膚感作性(アレルゲン性)を評価する。動物使用数が少なく、感度も高いためOECDガイドラインでも採用されている |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢2:細菌・培養細胞を使うのは「発がん性試験」ではなく変異原性試験(Amesテスト等)
・選択肢3:変異原性試験に動物を使う試験(小核試験・染色体異常試験)は存在する
・選択肢4:生殖毒性試験は雌雄両方に投与する
・選択肢2:細菌・培養細胞を使うのは「発がん性試験」ではなく変異原性試験(Amesテスト等)
・選択肢3:変異原性試験に動物を使う試験(小核試験・染色体異常試験)は存在する
・選択肢4:生殖毒性試験は雌雄両方に投与する
臨床メモ
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薬剤師 あおい
新薬の承認申請では、これらの毒性試験データが必須です。特にICHガイドラインは日本・EU・米国で共通に使われており、医薬品の国際開発を支える基盤になっています。薬剤師として医薬品の安全性評価の仕組みを理解しておくことは、患者さんへの情報提供の質を高めます。
LLNA(マウス耳介法)は従来のモルモット法より動物使用数が少なく倫理的負担も小さいとして、現在の主流になりつつあります。動物実験の3R原則(Replacement・Reduction・Refinement)の観点からも重要な試験法です。










