47歳男性。飲酒歴なし。7ヶ月前に左母趾の激痛と腫脹を認め、痛風発作と診断されナプロキセン錠が処方された。3ヶ月前より以下の薬剤が処方された。検査値が併記された処方箋を持って患者が薬局を訪れた際、薬剤師に対して「痛みは和らいできたが、尿酸値が徐々に上がってきた。このまま服用を続けてよいのか。」と相談があった。
【問258】アロプリノールに代わる薬剤の選択
処方:アロプリノール錠100 mg 1日3回(キサンチンオキシダーゼ阻害薬・尿酸生成抑制型)
検査値:血清尿酸7.5 mg/dL、AST 92・ALT 117・γ-GTP 86 IU/L(肝機能異常)、eGFR 82 mL/min、尿中尿酸排泄量0.406 mg/kg/時(正常値0.483〜0.509→低値=排泄低下型)
① 尿中尿酸排泄量0.406(正常値0.483〜0.509を下回る)→ 尿酸排泄低下型 → 排泄促進薬が適切
② AST 92・ALT 117(基準値40以下)→ 肝機能障害あり → 重篤な肝障害の報告があるベンズブロマロンは回避
| 選択肢 | 薬物・分類 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 | コルヒチン | × 痛風発作の予防・治療薬(微小管阻害)。尿酸値を下げる作用はない。 |
| 2 | ベンズブロマロン(排泄促進薬) | × 排泄低下型には適応だが、重篤な肝障害(劇症肝炎など)の副作用リスクがある。本症例は既にAST 92・ALT 117と著しい肝機能異常が認められるため、新たな追加・切り替え薬としては回避すべきである。 |
| 3 ★ | ドチヌラド(選択的URAT1阻害薬) | ◯ 尿酸排泄低下型に適応。URAT1を選択的に阻害し近位尿細管での尿酸再吸収を抑制。ベンズブロマロンと異なり重篤な肝障害の報告がなく、肝機能異常例でも使用しやすい。2020年承認。 |
| 4 | トピロキソスタット(生成抑制薬) | × XO阻害薬であり、すでにアロプリノール(同機序)を服用中。同系統の代替は合理的でない。 |
| 5 | フェブキソスタット(生成抑制薬) | × 同上。XO阻害薬への変更では排泄低下型の根本解決にならない。 |
・選択肢2:「排泄低下型=ベンズブロマロン」の知識だけで選ぶと誤り。肝機能異常がある場合は劇症肝炎リスクから回避が必要。
・選択肢4・5:同機序のXO阻害薬への変更では排泄低下型の根本解決にならない。
【問259】ドチヌラドの作用機序
| 選択肢 | 機序 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 | キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害 | × アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタットの機序(生成抑制型)。ドチヌラドは排泄促進型でXOとは無関係。 |
| 2 ★ | URAT1 を阻害 | ◯ ドチヌラドは腎近位尿細管のURAT1(SLC22A12)を選択的に阻害する。URAT1は尿細管腔側(尿中)から尿細管上皮細胞内へ尿酸を再吸収するトランスポーターであり、これを阻害することで尿酸の再吸収が抑制され、尿中への排泄が促進される。 |
| 3 | 微小管の形成を阻害 | × コルヒチンの機序。チュブリン重合阻害→好中球遊走抑制→痛風発作抑制。ドチヌラドとは無関係。 |
| 4 ★ | 近位尿細管での尿酸再吸収を阻害 | ◯ URAT1阻害(選択肢2)の結果として生じる作用を機能面から表現。URAT1阻害→近位尿細管での尿酸再吸収↓→尿中尿酸排泄量↑。選択肢2と4は同一機序の分子・生理レベルの表現。 |
| 5 | 遠位尿細管での尿酸分泌を阻害 | × 作用部位は近位尿細管、作用は再吸収阻害(分泌阻害ではない)。「近位⇔遠位」「再吸収⇔分泌」の2点がともに逆のひっかけ。 |
・尿酸生成抑制型:アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタット → XO阻害
・尿酸排泄促進型:ベンズブロマロン → URAT1・OAT4阻害(肝障害リスクあり)
・尿酸排泄促進型:ドチヌラド → URAT1選択的阻害(肝障害リスク低・2020年承認)
・痛風発作治療:コルヒチン → 微小管阻害(尿酸値は下げない)
・選択肢1:「尿酸降下薬=XO阻害」と反射的に選ぶと誤り。ドチヌラドは排泄促進型。
・選択肢5:「遠位尿細管・分泌阻害」は2点とも誤り。近位尿細管・再吸収阻害が正しい。


高尿酸血症の病型分類と薬剤選択は国試でも実務でも必須知識です。尿中尿酸排泄量(正常値0.483〜0.509 mg/kg/時)が低ければ排泄低下型、高ければ産生過剰型。排泄低下型にはURAt1阻害薬(ドチヌラド)が候補ですが、肝機能を確認してからベンズブロマロンとドチヌラドのどちらを提案するかを判断する、という思考が実務的です。
ドチヌラド(ユリス®)は2020年承認の選択的URAT1阻害薬です。ベンズブロマロンより肝障害リスクが低く、他の主要な尿酸排泄促進薬と比べて薬物相互作用(CYP2C9阻害など)も極めて少ないため、肝機能異常例や多剤併用(ポリファーマシー)の患者でも使いやすい薬剤として採用が増えています。
ベンズブロマロンの肝障害リスク:2000年代初頭に海外で劇症肝炎による死亡例が報告されました。国内では使用継続されていますが定期的な肝機能検査が必須です。AST・ALT・γ-GTPの確認は処方提案前に必ず行いましょう。










