第111回
問333
実践問題|実務
骨転移に対するデノスマブとデノタスチュアブル配合錠の服薬指導
【症例】
70歳男性。前立腺がんによるがん性疼痛に対して、モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠を服用していた。疼痛の悪化に伴い入院となり、骨転移に対して処方1及び処方2の薬剤が開始となった。
| (処方1) |
デノスマブ(遺伝子組換え)皮下注(120 mg/1.7 mL) 1バイアル 1回120 mg 皮下注射 |
| (処方2) |
デノタスチュアブル配合錠(注) 1回2錠(1日2錠) 1日1回 昼食後 7日分 |
(注:沈降炭酸カルシウム/コレカルシフェロール/炭酸マグネシウム配合錠)
| (開始時検査値) |
血清アルブミン4.0 g/dL、AST 10 IU/L、ALT 14 IU/L 血清クレアチニン0.88 mg/dL、血清カルシウム8.3 mg/dL |
問333(実務)
この患者に対して病棟担当薬剤師が行う服薬指導の内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1
処方1の薬剤の開始後は、定期的な歯科検査を受けること。
—
2
処方1の薬剤服用中は、カリウム含有量の多い食品を積極的に摂取すること。
—
3
処方2の薬剤は、処方1の薬剤の副作用を軽減するために処方されていること。
—
4
処方2の薬剤の副作用の症状として、テタニー症状があること。
—
5
処方2の薬剤は、かみ砕いたり、口中で溶かさずにそのまま服用すること。
—
正解です!
デノスマブの顎骨壊死リスクと、デノタスチュアブル配合錠の位置づけ・服用方法を正確に理解しています。
不正解です。正解は 1 と 3 です。
解説でデノスマブの顎骨壊死リスクと低カルシウム血症対策について確認しましょう。
解説を見る▼
【問333】デノスマブ(ランマーク)とデノタスチュアブル配合錠
デノスマブ(商品名:ランマーク)は抗RANKL抗体製剤で、破骨細胞の機能を阻害することで骨転移に伴う骨関連事象を抑制する。代表的な重大な副作用として顎骨壊死(ONJ)と低カルシウム血症がある。デノタスチュアブル配合錠(カルシウム・ビタミンD・マグネシウム配合)は、デノスマブによる低カルシウム血症の予防・補正のために併用される。
| 選択肢 | 記述 | 判定・解説 |
|---|---|---|
| 1 ★ | 処方1開始後は定期的な歯科検査を受ける | ◯ デノスマブの重大な副作用として顎骨壊死(ONJ)が知られており、抜歯等の侵襲的歯科処置がリスク因子となる。投与開始前・投与中は口腔内を清潔に保ち、定期的な歯科検査・処置を受けることが推奨される、極めて重要な服薬指導内容。 |
| 2 | 処方1服用中はカリウム含有量の多い食品を積極的に摂取 | × デノスマブによる電解質異常として問題となるのはカリウムではなくカルシウム(低カルシウム血症)である。「カリウム」という記述自体が、本剤の代表的なリスクとは無関係であり、誤った食事指導となる。 |
| 3 ★ | 処方2は処方1の副作用軽減のために処方 | ◯ デノタスチュアブル配合錠(カルシウム+ビタミンD+マグネシウム)は、デノスマブ投与による低カルシウム血症を予防・補正するために併用される、いわば「セットで処方される」薬剤。本症例の開始時の血清カルシウムは8.3 mg/dLとやや低めであり、この点でも処方2の意義と整合する。 |
| 4 | 処方2の副作用としてテタニー症状 | × テタニーは低カルシウム血症でみられる症状であり、これはデノスマブ(処方1)による有害事象として注意すべき症状である。デノタスチュアブル配合錠(処方2)はカルシウムを補充する薬剤であり、その副作用としてテタニー(低Ca症状)が生じるという説明は、原因と薬剤を取り違えた記述。むしろ処方2はテタニーの予防に寄与する薬剤である。 |
| 5 | 処方2はかみ砕いたり溶かさずそのまま服用 | × デノタスチュアブル配合錠はチュアブル錠であり、その名称(chewable:噛める)が示すとおり、かみ砕くか、口中で溶かして服用する剤形である。「そのまま服用(丸ごと飲み込む)」という指導は、チュアブル錠としての服用方法に反する。 |
⚠️ 引っかけポイント(問333):
・選択肢2:「電解質異常への注意」という方向性は正しそうに見えるが、対象となる電解質(K vs Ca)を取り違えている。デノスマブ関連の電解質異常はカルシウムが中心。
・選択肢4:「テタニー=低Ca血症の症状」という知識自体は正しいが、どの薬剤がその副作用を起こすのか(処方1)と、どの薬剤がそれを補う側か(処方2)を取り違えている。
・選択肢5:「デノタスチュアブル」という製品名そのもの(chewable=噛める)に剤形のヒントが含まれていることに注目できるかが鍵。
・選択肢2:「電解質異常への注意」という方向性は正しそうに見えるが、対象となる電解質(K vs Ca)を取り違えている。デノスマブ関連の電解質異常はカルシウムが中心。
・選択肢4:「テタニー=低Ca血症の症状」という知識自体は正しいが、どの薬剤がその副作用を起こすのか(処方1)と、どの薬剤がそれを補う側か(処方2)を取り違えている。
・選択肢5:「デノタスチュアブル」という製品名そのもの(chewable=噛める)に剤形のヒントが含まれていることに注目できるかが鍵。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
デノスマブの2大リスクを「歯」と「カルシウム」で覚える:①顎骨壊死(ONJ)→投与前から歯科受診・口腔ケアが重要、②低カルシウム血症→カルシウム+ビタミンD製剤(デノタスチュアブル等)の併用が基本。「デノスマブを始めるなら、歯医者さんとカルシウムのお薬もセットで」という覚え方が実践的です。
「テタニー」が出てくる薬剤の関係を整理:テタニー(手足のしびれ・筋肉のけいれん)は低カルシウム血症の代表的な症状です。デノスマブ・ビスホスホネート製剤・カルシトニン製剤などは血清カルシウムを低下させる方向に働くため、テタニーのリスクが上がります。逆にカルシウム製剤・活性型ビタミンD製剤はテタニーを予防・改善する側です。「テタニーの原因薬」と「テタニー対策の薬」を逆に覚えないよう注意しましょう。
チュアブル錠の服薬指導:チュアブル錠は噛んで服用することを前提に設計された製剤であり、味や崩壊性が調整されています。「水で丸ごと飲み込んでください」と指導してしまうと、患者によっては服用しづらく感じたり、効果に影響する可能性もあるため、剤形名から服用方法を推測するクセをつけておくと、本問のような設問にも対応しやすくなります。










