第110回
問171
理論問題|薬剤
アルブミン結合の両逆数プロット
問171(理論)
ある薬物のアルブミンへの結合定数は10(μmol/L)-1、結合部位数は2である。この薬物のアルブミン結合に関する両逆数プロットを点線で表し、また、この薬物のアルブミンへの結合が別の薬物の共存により競合的に阻害された場合を実線で表すとき、正しい図はどれか。1つ選べ。
ただし、図中のrはアルブミン1分子当たりに結合している薬物の分子数を、[Df]は非結合形薬物濃度を示す。
ただし、図中のrはアルブミン1分子当たりに結合している薬物の分子数を、[Df]は非結合形薬物濃度を示す。
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正解です!
解説で両逆数プロットの読み方を確認しましょう。
不正解です。正解は 1 です。
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薬物のタンパク結合における両逆数プロット(クロッツプロット)は、酵素反応のラインウィーバー・バークプロットと数学的に同じ構造を持ちます。競合的阻害の場合の直線の変化パターンを、酵素反応のアナロジーで理解することがポイントです。
両逆数プロットの基本式
結合式 r = nK[Df] ÷ (1+K[Df]) を逆数にすると、
1/r = 1/(nK) × 1/[Df] + 1/n
(n:結合部位数、K:結合定数)
すなわち、1/[Df]を横軸、1/rを縦軸にとると、y切片=1/n、傾き=1/(nK)の直線となる
結合式 r = nK[Df] ÷ (1+K[Df]) を逆数にすると、
1/r = 1/(nK) × 1/[Df] + 1/n
(n:結合部位数、K:結合定数)
すなわち、1/[Df]を横軸、1/rを縦軸にとると、y切片=1/n、傾き=1/(nK)の直線となる
点線(この薬物単独の場合)の計算
n = 2、K = 10(μmol/L)-1を代入する
y切片 = 1/n = 1/2 = 0.5
傾き = 1/(nK) = 1/(2×10) = 0.05
(検算:1/[Df]=30のとき、1/r=0.5+0.05×30=2.0となり、選択肢1の点線の形状と一致する)
実線(別の薬物により競合的に阻害された場合)の考え方
競合的阻害では、結合部位数nは変化せず、見かけの結合定数Kappのみが低下する(酵素反応におけるラインウィーバー・バークプロットの競合阻害と同じ挙動)。したがって、
y切片(1/n)は点線と同じまま、傾き(1/(nKapp))だけが点線より大きく(急に)なる
n = 2、K = 10(μmol/L)-1を代入する
y切片 = 1/n = 1/2 = 0.5
傾き = 1/(nK) = 1/(2×10) = 0.05
(検算:1/[Df]=30のとき、1/r=0.5+0.05×30=2.0となり、選択肢1の点線の形状と一致する)
実線(別の薬物により競合的に阻害された場合)の考え方
競合的阻害では、結合部位数nは変化せず、見かけの結合定数Kappのみが低下する(酵素反応におけるラインウィーバー・バークプロットの競合阻害と同じ挙動)。したがって、
y切片(1/n)は点線と同じまま、傾き(1/(nKapp))だけが点線より大きく(急に)なる
引っかけポイント:
・選択肢2・4・5・6は、点線自体のy切片が0.5からずれており(y切片が2など)、この薬物単独の結合定数・結合部位数から導かれる正しい直線になっていない
・選択肢3は点線のy切片は正しいが、実線の点線からの変化のさせ方が誤っており、実線のy切片が点線と異なってしまっている(競合的阻害ではy切片は不変であるべき)
・競合的阻害を非競合的阻害と混同すると、「y切片が変化し、傾きは不変」という逆のパターンを選んでしまいやすいため注意する
・選択肢2・4・5・6は、点線自体のy切片が0.5からずれており(y切片が2など)、この薬物単独の結合定数・結合部位数から導かれる正しい直線になっていない
・選択肢3は点線のy切片は正しいが、実線の点線からの変化のさせ方が誤っており、実線のy切片が点線と異なってしまっている(競合的阻害ではy切片は不変であるべき)
・競合的阻害を非競合的阻害と混同すると、「y切片が変化し、傾きは不変」という逆のパターンを選んでしまいやすいため注意する
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
血漿タンパク結合の競合的な置換は、臨床でも重要な相互作用の一つです。例えばワルファリンはアルブミンとの結合率が高く、NSAIDs等の他の高タンパク結合率薬剤と併用すると、アルブミン上の結合部位を競合的に奪い合い、ワルファリンの遊離形(非結合形)濃度が上昇して抗凝固作用が増強することがあります。
実務では、低アルブミン血症の患者さん(低栄養・肝硬変・ネフローゼ症候群など)でも同様に非結合形薬物濃度が上昇しやすいため、タンパク結合率の高い薬剤を使用する際は副作用の増強に注意し、必要に応じて用量調節を検討します。










