第110回
問14
理論問題|生物
オステオカルシンのグルタミン酸残基に対する翻訳後修飾
【設問】
オステオカルシンとカルシウムイオンが結合できるようにする、グルタミン酸残基に対する翻訳後修飾はどれか。1つ選べ。
問14(生物)
1
アセチル化
—
2
メチル化
—
3
ミリストイル化
—
4
リン酸化
—
5
カルボキシル化
—
正解です!
ビタミンK依存性カルボキシル化によりGlaが形成されCa²⁺結合能を得ることを正しく理解しています。
不正解です。正解は 5 です。
解説でビタミンK依存性の翻訳後修飾を確認しましょう。
解説を見る▼
【問14】ビタミンK依存性カルボキシル化
オステオカルシン(骨基質タンパク質)のグルタミン酸(Glu)残基は、ビタミンKを補酵素とするγ-グルタミルカルボキシラーゼによってγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)に変換される。Gla 残基は2つのカルボキシル基(−COOH)をもつため、Ca²⁺と強力にキレート結合でき、骨のハイドロキシアパタイトへの結合が可能になる。この反応がカルボキシル化(γ-カルボキシル化)であり、ビタミンK依存性翻訳後修飾の代表例である。
| 翻訳後修飾 | 修飾される残基・部位 | 主な役割・代表例 |
|---|---|---|
| アセチル化(選択肢1) | リシン(Lys)の ε-アミノ基、N末端 | ヒストン修飾(転写活性化)、タンパク質安定化。Ca²⁺結合とは無関係。 |
| メチル化(選択肢2) | リシン・アルギニン残基、DNA の CpG | ヒストン修飾(転写制御)、DNA メチル化(エピジェネティクス)。Ca²⁺結合とは無関係。 |
| ミリストイル化(選択肢3) | N末端グリシン残基 | ミリスチン酸(C14脂肪酸)の付加。膜アンカリング・シグナル伝達タンパクの膜局在化。同じ脂質修飾のパルミトイル化・プレニル化(ファルネシル化)との引っかけに注意。 |
| リン酸化(選択肢4) | セリン(Ser)・スレオニン(Thr)・チロシン(Tyr)残基の OH 基 | OH 基にリン酸を付加する細胞内シグナル伝達の中心的修飾。キナーゼ/ホスファターゼによる ON/OFF 制御。 |
| カルボキシル化 ★(選択肢5) | グルタミン酸(Glu)→ Gla | Ca²⁺キレート結合。ビタミンK依存性。オステオカルシン・凝固因子(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)。 |
したがって正解は 5(カルボキシル化) である。
・選択肢1(アセチル化)・2(メチル化):主にヒストン修飾(エピジェネティクス)で登場する修飾であり、グルタミン酸残基へのCa²⁺結合能付与とは無関係。
・選択肢3(ミリストイル化):N末端グリシンへの脂肪酸付加であり、膜局在化に関わる修飾。グルタミン酸残基・Ca²⁺結合とは完全に無関係。
・選択肢4(リン酸化)が最大のひっかけ。リン酸基も負電荷をもつためCa²⁺と結合しそうに見えるが、オステオカルシンのCa²⁺結合はカルボキシル化(Gla 形成)によるものであり、リン酸化ではない。
・選択肢3(ミリストイル化):N末端グリシンへの脂肪酸付加であり、膜局在化に関わる修飾。グルタミン酸残基・Ca²⁺結合とは完全に無関係。
・選択肢4(リン酸化)が最大のひっかけ。リン酸基も負電荷をもつためCa²⁺と結合しそうに見えるが、オステオカルシンのCa²⁺結合はカルボキシル化(Gla 形成)によるものであり、リン酸化ではない。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
ビタミンK依存性タンパク質はオステオカルシンだけではありません。血液凝固因子の Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子、および抗凝固タンパクのプロテインC・プロテインS も、Glu → Gla のカルボキシル化によって活性化されます。
ビタミンK依存性凝固因子の数字の組み合わせは国試頻出の暗記ポイントです。覚え方のゴロは下の関連記事で詳しく解説しています。
ワルファリンはビタミンKの作用を拮抗してこのカルボキシル化を阻害するため、これらの凝固因子がすべて抑制されて抗凝固作用を示します。「ワルファリン=ビタミンK拮抗→カルボキシル化阻害→Gla形成阻害→Ca²⁺結合できない→凝固因子不活化」の一連の流れを本問とセットで覚えておくと、薬理・病態の問題でも得点できます!










