第110回
問9
理論問題|化学
最も安定化されているベンジルカチオン
【設問】
以下の化学種のうち、ベンジルカチオンが最も安定化されているのはどれか。1つ選べ。
問9(化学)
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1
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2
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3
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4
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5
正解です!
パラ位(4位)への −OCH₃ 追加が共鳴安定化に最も効果的なことを正しく理解しています。
不正解です。正解は 4 です。
解説で −OCH₃ の置換位置と共鳴安定化の関係を確認しましょう。
解説を見る▼
【問9】ベンジルカチオンの安定化と置換基効果
ベンジルカチオン(PhCH₂⁺)の正電荷はベンゼン環との共鳴によってオルト位・パラ位に非局在化する。したがって、オルト位・パラ位に電子供与基(EDG)があると正電荷が安定化される。−OCH₃(メトキシ基)は孤立電子対の共鳴効果(+R 効果)により強力な EDG として働く。
ベンジルカチオン(−CH₂⁺)のプラス電荷はベンゼン環の π 電子と共鳴(非局在化)することで、オルト位(2・6位)とパラ位(4位)の炭素上にのみ移動する(メタ位にはプラス電荷は絶対に回らない)。したがって、プラス電荷が直接巡ってくるオルト位・パラ位に強力な EDG(−OCH₃)が配置されている場合のみ、その孤立電子対から電子が直接流れ込んでカチオンを強力に安定化できる。
カチオン安定化の効果は パラ位 ≧ オルト位 > メタ位 の順。
ベンジルカチオン(−CH₂⁺)のプラス電荷はベンゼン環の π 電子と共鳴(非局在化)することで、オルト位(2・6位)とパラ位(4位)の炭素上にのみ移動する(メタ位にはプラス電荷は絶対に回らない)。したがって、プラス電荷が直接巡ってくるオルト位・パラ位に強力な EDG(−OCH₃)が配置されている場合のみ、その孤立電子対から電子が直接流れ込んでカチオンを強力に安定化できる。
カチオン安定化の効果は パラ位 ≧ オルト位 > メタ位 の順。
| 番号 | 化合物 | −OCH₃ の位置 | 安定化への寄与 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2-メトキシベンジルカチオン | オルト(2位)のみ | 共鳴可・1基 |
| 2 | 3-メトキシベンジルカチオン | メタ(3位)のみ | 共鳴不可・最小 |
| 3 | 2,3-ジメトキシベンジルカチオン | オルト+メタ(2,3位) | オルト1基のみ有効 |
| 4 ★ | 2,4-ジメトキシベンジルカチオン | オルト+パラ(2,4位) | 共鳴可・2基 ◯ |
| 5 | 2,5-ジメトキシベンジルカチオン | オルト+メタ(2,5位) | オルト1基のみ有効 |
選択肢4の2,4-ジメトキシ体では、−OCH₃ がオルト位(2位)とパラ位(4位)の両方に配置されており、ともにカチオンの正電荷サイトと共鳴でつながる位置関係にある。2つの EDG が協力して正電荷を安定化するため、5選択肢中で最もカチオンが安定化されており、正解は 4 である。
・選択肢2(3-メトキシ):メタ位(3位)にあるメトキシ基は正電荷が巡ってこない位置にあるため、得意の共鳴効果(+R 効果)による電子供与が一切届かない。その結果、酸素原子の電気陰性度による誘起効果(電子求引:−I 効果)だけが一方的に働いてしまい、電子を吸い上げて無置換のベンジルカチオンよりもむしろカチオンを不安定化させてしまう。
・選択肢3(2,3-ジメトキシ)・5(2,5-ジメトキシ):2基目の −OCH₃ がメタ位(3位または5位)にあるため、有効な EDG はオルト位の1基のみ。選択肢1と実質的に同程度の安定化にとどまる。
・選択肢1(2-メトキシ):オルト位のみに1基の EDG。安定化されているが、パラ位への共鳴が使えないため選択肢4には及ばない。
・選択肢3(2,3-ジメトキシ)・5(2,5-ジメトキシ):2基目の −OCH₃ がメタ位(3位または5位)にあるため、有効な EDG はオルト位の1基のみ。選択肢1と実質的に同程度の安定化にとどまる。
・選択肢1(2-メトキシ):オルト位のみに1基の EDG。安定化されているが、パラ位への共鳴が使えないため選択肢4には及ばない。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
ベンジルカチオンの安定化問題は「正電荷がどこに非局在化するか(オルト・パラ)」と「そこに EDG があるか」の2点を確認するだけで解けます。問8の酸性度問題と「裏表」の関係です。酸性度ではアニオン(O⁻)を安定化する EWG が答えになりましたが、カチオン安定化ではカチオン(CH₂⁺)を安定化する EDG が答えになります。
置換基が何個あっても、「カチオンのプラス電荷が乗るオルト・パラ位に EDG が入っているか」をチェックするだけで勝負は決まります。選択肢4の2,4-ジメトキシ体は、オルト位(2位)とパラ位(4位)の「両方の正電荷サイト」に最強の EDG(−OCH₃)がジャストミートで配置されているため、2基の協力体制によって他を圧倒する最強の安定性を誇ります。問8(アニオン安定化)と問9(カチオン安定化)のロジックをセットで脳内にフォルダ分けしておけば、国試の構造効果問題はもう怖くありませんよ!










