第110回
問11
理論問題|生物
血管平滑筋細胞を持たず内皮細胞と基底膜から構成される血管
【設問】
血管平滑筋細胞を持たず血管内皮細胞と基底膜から構成され、栄養成分や老廃物の物質交換が行われるのはどれか。1つ選べ。
問11(生物)
1
大動脈
—
2
細動脈
—
3
毛細血管
—
4
大静脈
—
5
胸管
—
正解です!
毛細血管の組織構造上の特徴を正しく理解しています。
不正解です。正解は 3 です。
解説で各血管・リンパ管の壁構造を確認しましょう。
解説を見る▼
【問11】毛細血管の構造的特徴
毛細血管は、血管壁が内皮細胞(一層)と基底膜のみから構成され、血管平滑筋細胞(中膜)をもたない。この薄い壁構造により、酸素・栄養素・老廃物・ホルモンなどが血液と組織液の間で効率よく物質交換される。
| 血管・管 | 内皮細胞 | 平滑筋(中膜) | 外膜 | 主な機能 |
|---|---|---|---|---|
| 大動脈 | あり | あり(厚い) | あり | 心臓からの高圧血流を末梢へ輸送 |
| 細動脈 | あり | あり(薄い) | あり | 末梢血管抵抗の調節(血圧制御) |
| 毛細血管 ★ | あり | なし | なし | 栄養・老廃物の物質交換(正解) |
| 大静脈 | あり | あり(薄い) | あり | 末梢から心臓への低圧血流輸送 |
| 胸管 | あり | あり(わずか) | あり | リンパ液(脂肪・免疫細胞)の輸送(リンパ管) |
国試に出る!毛細血管の3大分類と透過性
| 分類 | 透過性 | 存在する臓器 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ① 連続型 | 低 | 脳(BBB)・筋肉・肺 | 内皮細胞に隙間なし。タイトジャンクションで密着。 |
| ② 有窓型(窓あき型) | 中 | 腎糸球体・小腸粘膜・内分泌腺 | 内皮細胞に小孔(フェネストラ)あり。水分・低分子のろ過・吸収に適合。 |
| ③ 不連続型(正弦様) | 高 | 肝臓(肝類洞)・脾臓・骨髄 | 細胞間・基底膜に大きな隙間あり。タンパク質・赤血球など巨大分子も通過可能。 |
したがって正解は 3(毛細血管) である。
・選択肢2(細動脈):毛細血管と混同しやすい最大のひっかけ。細動脈は内皮細胞の外側に平滑筋層(中膜)が存在し、交感神経やレニン-アンジオテンシン系による収縮・拡張で末梢血管抵抗を調節する。物質交換の場ではない。
・選択肢5(胸管):リンパ管の本幹であり血管ではない。内皮細胞と薄い平滑筋をもつが、栄養・老廃物の「血液との」物質交換は行わず、リンパ液を静脈角へ輸送する役割をもつ。
・選択肢5(胸管):リンパ管の本幹であり血管ではない。内皮細胞と薄い平滑筋をもつが、栄養・老廃物の「血液との」物質交換は行わず、リンパ液を静脈角へ輸送する役割をもつ。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
血管壁は内側から「内膜(内皮細胞+基底膜)・中膜(平滑筋・弾性線維)・外膜(結合組織)」の3層構造が基本です。毛細血管はこのうち内膜のみという最もシンプルな構造で、だからこそ物質が素早く通り抜けられます。
臨床的には、毛細血管の透過性が異常に亢進すると浮腫・炎症・ショックにつながります。また、脳の毛細血管は内皮細胞同士がタイトジャンクション(密着結合)で隙間なくガッチリ結合しており、さらにその周囲をアストロサイト(星状膠細胞)の突起が覆うことで「血液脳関門(BBB)」を形成しています。通常の毛細血管のように物質がザル通りできないため、BBB を通過できるのは「脂溶性が高い」「分子量が小さい」「非イオン型(イオン化していない)」といった特定の薬物だけです。生物の血管構造を覚えるときは、ぜひ薬剤の BBB の講義とも頭の中でリンクさせておいてくださいね!










