【第111回薬剤師国家試験】問192 がんの進行度を判定するTNM分類 解説

  • URLをコピーしました!
第111回 問192
第111回 問192
理論問題|病態・薬物治療
がんの進行度を判定するTNM分類
問192 がんの進行度を判定するTNM分類に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 原発臓器を問わず同一の基準で評価する。
2 Tは原発巣の大きさや浸潤の程度を示す。
3 Nは遠隔転移の有無と広がりを示す。
4 Mはリンパ節転移の有無と広がりを示す。
5 T、N、Mの組合せにより病期(ステージ)を決定できる。
正解です!
正答:2と5
×
不正解です
正答:2と5
解説を見る
💡 TNM分類の基本:T(Tumor)=原発巣、N(Node)=リンパ節転移、M(Metastasis)=遠隔転移。各因子の組み合わせで病期(ステージⅠ〜Ⅳ)が決まる。
選択肢正誤解説
1
原発臓器を問わず
同一基準
× TNM分類は臓器ごとに異なる基準で評価される。例えば乳がんのT分類は腫瘍径(cm)で区分されるが、大腸がんのT分類は腸壁浸潤の深さで区分される。同一基準ではない。
2
T=原発巣の
大きさ・浸潤
T(Tumor)は原発巣の大きさや周囲組織への浸潤の程度を示す。TX(評価不能)・T0(原発巣なし)・Tis(上皮内がん)・T1〜T4(浸潤の程度)の段階で表す。
3
N=遠隔転移
× N(Node)は所属リンパ節転移の有無と広がりを示す。NX(評価不能)・N0(リンパ節転移なし)・N1〜N3(転移の程度)。遠隔転移を示すのはM。NとMが入れ替わっている。
4
M=リンパ節転移
× M(Metastasis)は遠隔転移の有無を示す。M0(遠隔転移なし)・M1(遠隔転移あり)。リンパ節転移を示すのはN。選択肢3と4はNとMの説明が入れ替わっている。
5
T・N・Mで
ステージ決定
T・N・Mの各因子の組み合わせにより病期(ステージⅠ〜Ⅳ)が決定される。ステージが高いほど進行度が高く、治療方針・予後に直結する。一般にM1(遠隔転移あり)はステージⅣとなることが多い。
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:「同一基準」が誤り。TNM分類は臓器別に策定されており、UICC(国際対がん連合)がそれぞれのがん腫に応じた基準を定めている。
・選択肢3・4:NとMの説明が入れ替わっている典型的な引っかけ。「N=Node(節)=リンパ節、M=Metastasis(転移)=遠隔転移」と語源で覚えると混同しない。

📌 豆知識:血液がんにはTNM分類は使われない
TNM分類は胃がん・乳がん・肺がんなどの固形がんに用いられる。白血病・悪性リンパ腫などの血液がんは全身性疾患であり、局所の腫瘍サイズや転移という概念が当てはまらないため、別の分類(白血病はFAB分類・WHO分類、悪性リンパ腫はAnn Arbor分類など)が使われる。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

処方箋や診療録でがん患者のステージを確認することは、薬剤選択の根拠を理解するうえで重要です。例えばステージⅣ(M1)では根治切除が困難なため、化学療法・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬が中心となります。

一方、ステージⅠ〜Ⅲ(M0:遠隔転移なし)で行われる抗がん剤治療には明確な目的の違いがあります。術前化学療法は腫瘍を縮小させて手術を容易にすること、術後化学療法は画像で確認できない微小転移を根絶して再発を予防することが目的です。薬剤師が「このステージにこの薬が使われる理由」を理解していると、患者への説明や副作用モニタリングの質が格段に上がります。

第111回 薬剤師国家試験 解説トップへ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次