【第111回薬剤師国家試験】問99 日本薬局方医薬品の確認試験(ラノコナゾール) 解説

  • URLをコピーしました!
第111回 問99
第111回 問99
理論問題|物理
日本薬局方医薬品の確認試験(ラノコナゾール)
問99 次の化学構造をもつ日本薬局方医薬品の確認試験として適切なのはどれか。2つ選べ。ただし、試験に用いる本品の量や試薬・試液の量、反応条件などは日本薬局方に規定されたとおりとする。
レボセチリジン塩酸塩の構造式
1
本品に塩酸を加えて加熱した液は、亜硝酸ナトリウム試液、アミド硫酸アンモニウム試液を加えた後、N,N-ジエチル-N′-1-ナフチルエチレンジアミンジュウ酸塩試液を加えると赤紫色を呈する。
2
本品を直火で加熱するとき、紫色のガスを発生する。
3
本品の水溶液にニンヒドリン試液を加え、水浴中で加熱するとき、液は紫色を呈する。
4
本品に水酸化ナトリウムを加え、徐々に加熱して融解し、炭化する。冷後、希塩酸を加えるとき、発生するガスは潤した酢酸鉛(Ⅱ)紙を黒変する。
5
本品につき、酸化銅を皮膜した銅網につけて燃焼させる試験を行うとき、緑色を呈する。
正解です!
硫黄による硫化鉛反応と、塩素(ハロゲン)によるバイルシュタイン試験が正解です。
×
不正解です。正解は 4 と 5 です。
解説で各選択肢を確認しましょう。
解説を見る
この化合物はラノコナゾール(抗真菌薬、外用)。構造上のポイント:
硫黄(S)を含む(チアゾリジン環部分)
塩素(Cl)を含む(2-クロロフェニル基)
・イミダゾール環を持つ(窒素含有複素環)
・シアノ基(–CN)を持つ
・第一級アミン(–NH₂)は存在しない
・ヨウ素(I)は含まれない
これらの官能基・元素から、どの確認試験が「陽性」になるかを判断する。

【各選択肢の解説】

選択肢試験名・内容判定・理由
1 ジアゾ化カップリング反応(芳香族第一級アミンの確認) × この反応は芳香族第一級アミン(–NH₂)の確認試験。塩酸で加熱してジアゾ化し、カップリング試薬と反応させて赤紫色を呈する。
ラノコナゾールの構造に芳香族第一級アミンは存在しないため、この試験は陰性。
2 直火加熱によるヨウ素の確認(紫色ガス) × 直火加熱で紫色のガス(ヨウ素蒸気、I₂)を発生するのは、ヨウ素(I)を含む化合物の確認試験。ラノコナゾールにはヨウ素は含まれない。
3 ニンヒドリン反応(アミノ酸・第一級アミンの確認) × ニンヒドリン反応で紫色(ルーエマン紫)を呈するのはα-アミノ酸や第一級アミン(–NH₂)。ラノコナゾールの構造には第一級アミンが存在しないため、この試験は陰性。
4 ★ 硫黄の確認(硫化鉛反応) ◯ 水酸化ナトリウムで融解・炭化すると、構造中の硫黄(S)が硫化物イオン(S²⁻)に変換される。希塩酸を加えると硫化水素(H₂S)が発生し、これが酢酸鉛(Ⅱ)紙(Pb²⁺)と反応して硫化鉛(PbS)の黒色沈殿を生じ、紙を黒変させる。
※ ラノコナゾールの構造にはチアゾリジン環にSが含まれており、この試験で陽性となる。
5 ★ バイルシュタイン試験(ハロゲンの確認) ◯ 酸化銅を皮膜した銅網に試料をつけて燃焼させると、ハロゲン(Cl、Br、I)を含む化合物はハロゲン化銅(CuX₂)を生成し、炎に緑色〜青緑色を呈する。
※ ラノコナゾールの構造には2-クロロフェニル基にClが含まれており、この試験で陽性となる。

【確認試験の対応まとめ】

元素・官能基と確認試験の対応

硫黄(S)  → アルカリ融解+酢酸鉛(Ⅱ)紙の黒変(硫化水素の検出)
ハロゲン(Cl、Br、I)→ バイルシュタイン試験(銅網燃焼→緑色炎)
ヨウ素(I) → 直火加熱で紫色ガス(I₂蒸気)
芳香族第一級アミン → ジアゾ化カップリング反応(赤紫色)
アミノ酸・第一級アミン → ニンヒドリン反応(紫色)
⚠️ 引っかけポイント:
選択肢1:ジアゾ化は「芳香族第一級アミン」専用。ラノコナゾールには第一級アミンが存在しない
選択肢2:「紫色のガス=ヨウ素(I₂)」と結びつける。ヨウ素含有化合物の試験であり、ラノコナゾールにはIが含まれない
選択肢3:ニンヒドリン反応は「第一級アミン・α-アミノ酸」専用。ラノコナゾールには第一級アミンがない
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

ラノコナゾール(商品名:アスタット)は、イミダゾール系の外用抗真菌薬です。白癬(水虫)や皮膚カンジダ症、癜風(でんぷう)などの治療に使われます。

薬局では「市販の水虫薬と何が違うの?」と聞かれることがあります。市販薬にも同系統の成分(ミコナゾールなど)が入っていますが、ラノコナゾールは皮膚への浸透性が高く、より強い抗真菌活性を持つのが特徴です。また、構造中に鏡像異性体が存在しますが、日本薬局方品はラセミ体として収載されています。

なお、アゾール系抗真菌薬はCYP3A4を阻害するため、内服薬では薬物相互作用に注意が必要ですが、ラノコナゾールは外用薬であり全身吸収はほとんどないため、相互作用の心配はほぼありません。

第111回 薬剤師国家試験 解説トップへ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次