第110回
問111
理論問題|生物
心筋の興奮と収縮
問111(理論)
心筋の興奮と収縮に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
洞房結節に生じた電気的興奮は、心房内を伝わり房室結節を経て心室筋へと伝わる。
—
2
電位依存性K+チャネルの活性化により、心室筋に脱分極が生じる。
—
3
心室筋の脱分極に伴って増加した細胞内のCa2+がトロポニンに結合することによって、心室筋が収縮する。
—
4
心室筋の脱分極によって、P波が心電図に記録される。
—
5
心拍数を増加させる心臓血管中枢からのシグナルは、迷走神経を介して伝わる。
—
正解です!
解説で興奮伝導系と興奮収縮連関の流れを確認しましょう。
不正解です。正解は 1、3 です。
解説で興奮伝導系と興奮収縮連関の流れを確認しましょう。
解説を見る▼
心臓の興奮は「洞房結節(洞結節)→心房→房室結節→ヒス束→プルキンエ線維→心室筋」という刺激伝導系を通じて伝わります。心室筋では、脱分極に伴って細胞内に流入したCa2+がトロポニンに結合することで収縮が起こる「興奮収縮連関」が成り立っています。
心室筋の活動電位と心電図の対応
・脱分極(phase 0):電位依存性Na+チャネルの開口によるNa+流入 → QRS波
・プラトー相(phase 2):電位依存性Ca2+チャネルの開口によるCa2+流入
・再分極(phase 3):電位依存性K+チャネルの活性化によるK+流出 → T波
・P波:心房の脱分極を反映する
・QRS波:心室の脱分極を反映する
・T波:心室の再分極を反映する
・脱分極(phase 0):電位依存性Na+チャネルの開口によるNa+流入 → QRS波
・プラトー相(phase 2):電位依存性Ca2+チャネルの開口によるCa2+流入
・再分極(phase 3):電位依存性K+チャネルの活性化によるK+流出 → T波
・P波:心房の脱分極を反映する
・QRS波:心室の脱分極を反映する
・T波:心室の再分極を反映する
各選択肢の解説
◯ 1 刺激伝導系の正しい経路。洞房結節(右心房上部)で発生した興奮は心房内を伝わり、房室結節を経てヒス束・プルキンエ線維を通り心室筋へ伝わる
× 2 電位依存性K+チャネルの活性化(K+流出)は再分極を引き起こす。脱分極を引き起こすのは電位依存性Na+チャネル(およびCa2+チャネル)の活性化である
◯ 3 興奮収縮連関の正しい記述。心室筋の脱分極に伴い細胞内Ca2+濃度が上昇し、Ca2+がトロポニンCに結合することでアクチン・ミオシンの相互作用が可能となり、心室筋が収縮する
× 4 P波は心房の脱分極を反映する波形である。心室筋の脱分極によって記録されるのはQRS波である
× 5 心拍数を増加させるシグナルは交感神経(心臓促進神経)を介して伝わる。迷走神経(副交感神経)は心拍数を減少させる方向に作用する
◯ 1 刺激伝導系の正しい経路。洞房結節(右心房上部)で発生した興奮は心房内を伝わり、房室結節を経てヒス束・プルキンエ線維を通り心室筋へ伝わる
× 2 電位依存性K+チャネルの活性化(K+流出)は再分極を引き起こす。脱分極を引き起こすのは電位依存性Na+チャネル(およびCa2+チャネル)の活性化である
◯ 3 興奮収縮連関の正しい記述。心室筋の脱分極に伴い細胞内Ca2+濃度が上昇し、Ca2+がトロポニンCに結合することでアクチン・ミオシンの相互作用が可能となり、心室筋が収縮する
× 4 P波は心房の脱分極を反映する波形である。心室筋の脱分極によって記録されるのはQRS波である
× 5 心拍数を増加させるシグナルは交感神経(心臓促進神経)を介して伝わる。迷走神経(副交感神経)は心拍数を減少させる方向に作用する
引っかけポイント:
・選択肢2:「K+チャネルの活性化=脱分極」と誤って覚えていると引っかかる。K+チャネル活性化はK+が細胞外へ流出する方向であり、膜電位はより陰性側(再分極)に向かう
・選択肢4:P波とQRS波の対応(心房 vs 心室)を逆に覚えないよう注意する
・選択肢5:迷走神経=副交感神経=心拍数を「下げる」方向という基本を、交感神経(心拍数を「上げる」)と混同しないようにする
・選択肢2:「K+チャネルの活性化=脱分極」と誤って覚えていると引っかかる。K+チャネル活性化はK+が細胞外へ流出する方向であり、膜電位はより陰性側(再分極)に向かう
・選択肢4:P波とQRS波の対応(心房 vs 心室)を逆に覚えないよう注意する
・選択肢5:迷走神経=副交感神経=心拍数を「下げる」方向という基本を、交感神経(心拍数を「上げる」)と混同しないようにする
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
心室筋の活動電位でCa2+チャネルが関与するプラトー相は、骨格筋にはない心筋特有の現象です。この持続的なCa2+流入があるおかげで、心筋は骨格筋のように強縮(テタヌス)を起こさず、拍動ごとにきちんと弛緩できます。
実務では、Ca2+チャネル遮断薬(ベラパミル等)が房室伝導を抑制して徐脈や房室ブロックを起こしうること、逆にジギタリス中毒などでCa2+過負荷が生じると不整脈のリスクが高まることも、この興奮収縮連関の知識とつながっています。










