第111回
問194
理論問題|病態・薬物治療
遺伝子治療
問194 遺伝子治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
対象となるのは、先天的疾患に限定されない。
—
2
ベクターとしてウイルスを用いることは、禁止されている。
—
3
治療のために導入する遺伝子から、患者のゲノム情報が分かる。
—
4
CAR-T療法では、T細胞にキメラ抗原受容体(CAR)を導入する。
—
5
治療のためであれば、生殖細胞への遺伝子導入は許容される。
—
正解です!
正答:1と4
不正解です
正答:1と4
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💡 遺伝子治療の2大原則:①対象は体細胞のみ(生殖細胞への導入は倫理的に禁止)、②ウイルスベクターは実際に広く使われている。CAR-T療法は遺伝子導入を用いた細胞療法の代表例。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 先天的疾患に 限定されない |
◯ | 遺伝子治療の対象は先天性疾患(重症複合免疫不全症SCIDなど)だけでなく、がん・感染症(HIV)・後天的疾患にも広がっている。CAR-T療法(B細胞性血液がん)、ゾルゲンスマ(脊髄性筋萎縮症:AAVベクターで正常遺伝子を導入する真の遺伝子治療薬)などが代表例。なお、同じSMAに使われるスピンラザ(ヌシネルセン)はアンチセンスオリゴヌクレオチド(核酸医薬)であり、遺伝子治療薬とは区別される。 |
| 2 ウイルスベクターは 禁止 |
× | ウイルスベクター(レトロウイルス・レンチウイルス・アデノ随伴ウイルスAAVなど)は遺伝子治療で最も広く使われているベクター。禁止されておらず、安全性評価を経て承認されている製品も多い。非ウイルスベクター(プラスミドDNA・LNPなど)と並ぶ主要な手段。 |
| 3 導入遺伝子から ゲノム情報が分かる |
× | 治療のために導入する遺伝子は、目的の治療用遺伝子(例:正常型の遺伝子)であり、患者固有のゲノム情報(一塩基多型・変異など)とは別もの。導入した治療遺伝子から患者のゲノム全体の情報が読み取れるわけではない。 |
| 4 CAR-T療法で CARをT細胞に導入 |
◯ | CAR-T(Chimeric Antigen Receptor T-cell)療法は、患者のT細胞を採取し、がん細胞の表面抗原(CD19など)を認識するキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子をレンチウイルスベクターで導入して再び患者に投与する細胞療法。B細胞性血液がんへの適応がある。 |
| 5 生殖細胞への 導入は許容 |
× | 生殖細胞(卵子・精子・受精卵)への遺伝子導入は、遺伝的変化が子孫に永続的に引き継がれるため、倫理的に世界的に禁止されている。日本の「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」でも生殖細胞への遺伝子導入は明確に禁止。 |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢2:「ウイルスは危険=禁止」という思い込みに注意。安全性を確認したうえで使用が認められている。
・選択肢3:「導入する遺伝子」は治療用の外来遺伝子であり、患者自身のゲノム情報ではない。
・選択肢5:「治療目的なら許容」という表現が誤り。生殖細胞への導入は目的にかかわらず禁止。次世代への影響が不可逆的なため。
・選択肢2:「ウイルスは危険=禁止」という思い込みに注意。安全性を確認したうえで使用が認められている。
・選択肢3:「導入する遺伝子」は治療用の外来遺伝子であり、患者自身のゲノム情報ではない。
・選択肢5:「治療目的なら許容」という表現が誤り。生殖細胞への導入は目的にかかわらず禁止。次世代への影響が不可逆的なため。
臨床メモ
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薬剤師 あおい
CAR-T療法(チサゲンレクルユーセル:キムリア®など)は外来では管理できない特殊な治療であり、サイトカイン放出症候群(CRS)や免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)などの重篤な副作用モニタリングが必要です。投与後少なくとも4週間は認定医療機関での管理が求められます。遺伝子治療製品は高額(数千万円〜億円台)であることも多く、医療費助成制度の活用に関する情報提供も薬剤師の重要な役割です。










