図はダニエル電池(Zn|ZnSO₄(aq)|CuSO₄(aq)|Cu)の模式図である。この電池の標準起電力として正しいのはどれか。1つ選べ。
ただし、Znと Cu の半電池の標準電極電位はそれぞれ −0.763 V と +0.337 V とする。
【問1】ダニエル電池の標準起電力
| 電極 | 反応 | 標準電極電位 |
|---|---|---|
| Zn(負極・アノード) | Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(酸化) | −0.763 V |
| Cu(正極・カソード) | Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(還元) | +0.337 V |
= (+0.337 V) − (−0.763 V)
= +1.100 V
したがって、ダニエル電池の標準起電力は +1.100 V となり、正解は 3 である。なお、この値は歴史的にも重要であり、1881年に起電力の単位「ボルト(V)」を定義する際の基準としてダニエル電池の起電力が用いられた(当時は1.0 Vとされた)経緯がある。
・選択肢4・5:正極と負極を取り違えて「E°(負極)− E°(正極)」のように逆に計算すると、符号が反転してこのような負の値になる。Cuが正極(還元される側)、Znが負極(酸化される側)であることを正しく見極める必要がある。
※ボルタ電池で問題となる分極(水素ガスの発生による起電力低下)を防ぐため、ダニエル電池では多孔質壁で2つの電解液を隔てている。放電が進むと、Zn²⁺イオンが多孔質壁を通って右(正極側)へ、SO₄²⁻イオンが左(負極側)へ移動することで、両液の電気的中性が保たれる。


正極・負極の見分け方:イオン化傾向が大きい金属(酸化されやすい金属)が負極(アノード)になります。Znの方がCuよりイオン化傾向が大きいので、Znが負極、Cuが正極(カソード)です。電池式「Zn|ZnSO₄(aq)|CuSO₄(aq)|Cu」も、左側が負極(アノード)、右側が正極(カソード)という表記ルールに沿っています。ちなみに、海外でも使われる有名な覚え方として、「An Ox(アノード=酸化:頭文字が母音同士)」「Red Cat(還元=カソード:頭文字が子音同士)」というものがあります。これを知っておくと、どちらの電極で酸化・還元が起きるか絶対に迷わなくなりますよ!
標準電極電位は、標準水素電極(E°=0 V)を基準とした各半電池の電極電位です。値が大きいほど還元されやすく、正極になりやすいと覚えておきましょう。












