第110回
問15
理論問題|生物
ウイルスゲノムを取り囲むタンパク質の殻
【設問】
ウイルスゲノムを中心としてその周囲を取り囲むタンパク質の殻はどれか。1つ選べ。
問15(生物)
1
エンベロープ
—
2
カプシド
—
3
コア
—
4
スパイク
—
5
ビリオン
—
正解です!
ゲノムを取り囲むタンパク質の殻=カプシドを正しく理解しています。
不正解です。正解は 2 です。
解説でウイルスの構造用語を整理しましょう。
解説を見る▼
【問15】ウイルスの構造用語
ウイルスの基本構造は内側から、ゲノム(核酸)→ カプシド(タンパク質の殻)→(エンベロープ)の順で構成される。カプシド(capsid)はカプソメアと呼ばれるタンパク質サブユニットが集合した正二十面体または螺旋対称の殻であり、ゲノムを物理的に保護する。なお、ゲノム(核酸)とカプシドが結合した複合体をヌクレオカプシドと呼ぶ。エンベロープをもたないノンエンベロープウイルスでは、このヌクレオカプシドがそのままビリオン(完全なウイルス粒子)となる。
| 用語 | 定義・説明 |
|---|---|
| エンベロープ(選択肢1) | カプシドの外側を覆う脂質二重膜。宿主細胞膜由来。インフルエンザウイルス・HIV・ヘルペスウイルスなどがもつ。エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープ)は消毒薬への抵抗性が高い。 |
| カプシド ★(選択肢2) | ゲノムを取り囲むタンパク質の殻。カプソメアが集合して形成される。正二十面体型(ポリオウイルスなど)または螺旋型(タバコモザイクウイルスなど)の対称構造をとる。 |
| コア(選択肢3) | ウイルスの最も内部の核酸+タンパク質複合体の領域全体を指すこともあるが、「タンパク質の殻」そのものではない。 |
| スパイク(選択肢4) | エンベロープや表面に突出した糖タンパク質の突起。宿主細胞受容体への吸着に関与。インフルエンザのHA・NA、SARSCoV-2のSタンパクなどが代表例。 |
| ビリオン(選択肢5) | 感染性をもつ完全なウイルス粒子全体の総称(ゲノム+カプシド+エンベロープなどすべてを含む)。「タンパク質の殻」のみを指す用語ではない。 |
したがって正解は 2(カプシド) である。
・選択肢1(エンベロープ)が最大のひっかけ。「ゲノムを取り囲む外側の構造」という点では正しいが、エンベロープは脂質二重膜であり「タンパク質の殻」ではない。カプシドとエンベロープの素材の違い(タンパク質 vs 脂質膜)をしっかり区別する。
・選択肢5(ビリオン):ウイルス粒子「全体」を指す用語。殻のみを指すカプシドと混同しないこと。
・選択肢5(ビリオン):ウイルス粒子「全体」を指す用語。殻のみを指すカプシドと混同しないこと。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
ウイルスの構造と消毒・抗ウイルス薬の関係は国試・実務で直結する重要テーマです。エンベロープをもつウイルスはアルコールや界面活性剤で脂質二重膜が破壊され不活化されやすい一方、ノンエンベロープウイルス(ノロウイルス・ロタウイルスなど)は通常の消毒用エタノールに対して抵抗性が高く(効きにくい)、次亜塩素酸ナトリウムによる塩素系消毒が第一選択となります。ただし、pHを酸性に調整した酸性アルコールはノンエンベロープウイルスにも有効であるため、「アルコールは一切無効」と断定しないよう注意しましょう。
| 分類 | 代表的なウイルス | 有効な消毒薬 |
|---|---|---|
| エンベロープあり | インフルエンザ・HIV・ヘルペス・SARS-CoV-2 | アルコール・界面活性剤◎ |
| エンベロープなし | ノロウイルス・ポリオ・アデノ・ロタウイルス | 次亜塩素酸ナトリウム◎、酸性アルコール◎ (通常アルコールは抵抗性あり) |










