【第110回薬剤師国家試験】問19 腐敗アミン(ヒスタミン)の前駆体アミノ酸 解説

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第110回 問19
第110回 問19
必須問題|衛生
腐敗アミン(ヒスタミン)の前駆体アミノ酸
【設問】

以下の構造式で示す腐敗アミンの前駆体となるアミノ酸はどれか。1つ選べ。

ヒスタミン構造式
問19(衛生)
1
リシン
2
チロシン
3
ヒスチジン
4
アルギニン
5
トリプトファン
正解です!
イミダゾール環からヒスチジン→ヒスタミンの脱炭酸を正しく理解しています。
×
不正解です。正解は 3 です。
解説で腐敗アミンとアミノ酸の対応を確認しましょう。
解説を見る

【問19】構造式からの腐敗アミン・前駆体アミノ酸の同定

構造式の特徴:イミダゾール環(5員環に窒素2つを含む複素環)に−CH₂CH₂NH₂(エチルアミン側鎖)が結合している。この構造はヒスタミン(histamine)であり、ヒスチジン(histidine)が腸内細菌のヒスチジン脱炭酸酵素により脱炭酸されて生成する腐敗アミンである。

腐敗アミンの代表例とその前駆体アミノ酸:

番号前駆体アミノ酸生成する腐敗アミン構造上の特徴
1リシンカダベリン(1,5-ペンタンジアミン)直鎖状、−NH₂ が2つ。イミダゾール環なし。
2チロシンチラミンフェノール環(ベンゼン環+OH)に−CH₂CH₂NH₂。イミダゾール環なし。
3 ★ ヒスチジン ヒスタミン イミダゾール環+−CH₂CH₂NH₂。本問の構造式に一致。
4アルギニンアグマチン(プトレシンの前駆体)グアニジノ基含む。イミダゾール環なし。
5トリプトファントリプタミン・インドールインドール環(ベンゼン+ピロール縮合)。イミダゾール環なし。

アミノ酸から腐敗アミンが生成する反応はすべて脱炭酸(decarboxylation)である。アミノ酸の主鎖 −CH(NH₂)COOH からカルボキシル基が CO₂ として外れることで −CH₂NH₂(エチルアミン側鎖)へと変化する。「側鎖の根元(環構造)はアミノ酸のときの形のまま残る」というルールを知っておくと、構造式から前駆体アミノ酸を迷わず同定できる。

したがって正解は 3(ヒスチジン) である。

選択肢2(チロシン):チロシンの脱炭酸産物チラミンにもアミノエチル側鎖はあるが、骨格はフェノール環(ベンゼン環+OH)であり、イミダゾール環とは全く異なる。
選択肢5(トリプトファン)が最大のひっかけ。トリプトファンが脱炭酸されるとトリプタミンになるが、その根元にあるのはインドール環(ベンゼン環〈6員環〉とピロール環〈窒素1つの5員環〉が縮合した二環式構造)である。本問の構造式は窒素が2つ入った5員環(イミダゾール環)のみでベンゼン環がくっついていないため、明確に区別できる。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

腐敗アミンは食中毒(特にヒスタミン食中毒)と直結するテーマです。マグロ・サバ・カツオなどの青魚に多く含まれるヒスチジンが、鮮度低下により腸内細菌の脱炭酸酵素でヒスタミンに変換され、アレルギー様食中毒(顔面紅潮・じんましん・頭痛)を引き起こします。

魚の表面に付着してヒスタミンを大量に産生する原因菌としては、モーガネラ・モーガニ(Morganella morganii)などのヒスタミン産生菌(腸内細菌科のグラム陰性桿菌)が有名です。この菌名自体も衛生の試験でよく狙われますよ!

重要なのは、ヒスタミンは加熱しても分解されないため、いったん生成すると加熱調理では無毒化できない点です。「新鮮な魚を速やかに低温保存する」ことが唯一の予防策となります。治療には抗ヒスタミン薬が有効です。

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