【第110回薬剤師国家試験】問22 ガラス工白内障を引き起こす非電離放射線 解説

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第110回 問22
第110回 問22
必須問題|衛生
ガラス工白内障を引き起こす非電離放射線
【設問】

非電離放射線のうち、眼の水晶体タンパク質の変性によってガラス工白内障を引き起こすのはどれか。1つ選べ。

問22(衛生)
1
UVA
2
UVB
3
UVC
4
赤外線
5
可視光線
正解です!
赤外線による熱作用が水晶体タンパク質を変性させてガラス工白内障を引き起こすことを正しく理解しています。
×
不正解です。正解は 4 です。
解説で非電離放射線の種類と生体影響を確認しましょう。
解説を見る

【問22】非電離放射線と生体影響

ガラス工白内障(赤外線白内障)は、溶融ガラスや溶融金属を扱う作業者が長期間にわたり強い赤外線に曝露されることで生じる職業性眼疾患である。赤外線の熱作用(温熱効果)によって眼の水晶体タンパク質(クリスタリン)が変性・凝固し、白内障が引き起こされる。
番号放射線の種類波長の目安主な生体影響
1UVA(長波長紫外線)315〜400 nm皮膚の光老化・シワ。真皮まで到達。白内障リスクあり(UVA白内障)。
2UVB(中波長紫外線)280〜315 nm皮膚の日焼け(サンバーン)・皮膚がん・ビタミンD合成促進。角膜炎・雪眼炎の原因。
3UVC(短波長紫外線)100〜280 nm殺菌・滅菌作用(DNA損傷)。オゾン層でほぼ吸収され地表にはほとんど届かない。
4 ★ 赤外線 760 nm〜1 mm 熱作用による水晶体タンパク変性 → ガラス工白内障(赤外線白内障)。職業性眼疾患の代表例。
5可視光線380〜760 nm網膜への直接損傷(強光源・レーザーなど)。通常の光では白内障は生じない。

水晶体は「クリスタリン」という透明なタンパク質で構成されているが、血管が通っていないため熱が加わっても血流による放熱ができない。溶融ガラスや溶融金属から放射される強い赤外線(熱線)を長期間浴び続けると、輻射熱が水晶体に蓄積し、生卵に熱をかけると白く固まるのと同じ原理で、透明な水晶体タンパク質が不可逆的に変性・白濁する。これが「ガラス工白内障(赤外線白内障)」のメカニズムである。

したがって正解は 4(赤外線) である。

選択肢1(UVA)・2(UVB)が最大のひっかけ。紫外線も白内障(UV白内障)のリスク因子として知られるが、職業性の「ガラス工白内障」は熱作用による赤外線が原因。紫外線によるDNA損傷・光化学反応とは機序が異なる。
選択肢3(UVC):殺菌灯や溶接作業での曝露が問題になるが、主な障害は角膜炎(電気性眼炎)であり、白内障ではない。
マイクロ波との機序の違い:マイクロ波も熱作用で水晶体(白内障)や精巣(精子形成障害)に障害を引き起こす。ただしマイクロ波は分子を振動させる「誘電加熱(電子レンジの原理)」で組織深部から加熱するのに対し、赤外線は「輻射熱(放射熱)」によって組織表面から加熱するという物理的機序の違いがある。国試で「ガラス工」「炉前作業」というキーワードがあれば赤外線が正解。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

非電離放射線の生体影響は「どの組織・臓器が標的になるか」「作用機序(熱・光化学・DNA損傷)」の組み合わせで整理しましょう。

放射線 主な作用機序 代表的な障害
UVCDNA 二量体形成(光化学)角膜炎(電気性眼炎)・殺菌
UVBDNA 損傷・光化学反応サンバーン・皮膚がん・雪眼炎
UVA活性酸素産生・光老化皮膚の光老化・UVA白内障
赤外線熱作用(温熱効果)ガラス工白内障(水晶体タンパク変性)
マイクロ波誘電加熱(組織深部)白内障・精巣障害(温度調節不良部位)

「ガラス工白内障」は職業性疾患の代表例として国試に繰り返し出題されます。マイクロ波も同じ「熱作用」で白内障を起こしますが、「ガラス工」「炉前作業(製鉄など)」という職業的キーワードが出てきたら赤外線の輻射熱が原因です。また同じ目を傷める電磁波でも、「スキー場(雪眼炎)」「溶接(電気性眼炎)」のキーワードなら紫外線(UVB/UVC)が正解になります。「光化学反応(UV)か、熱作用(赤外線・マイクロ波)か」の2大機序を頭の中でフォルダ分けしておきましょう!

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