第110回
問87
必須問題|実務
周術期に血栓症リスクが最も高い薬剤
問87(必須)
周術期の患者において血栓症のリスクが最も高い薬剤はどれか。1つ選べ。
1
メトホルミン塩酸塩錠
—
2
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物錠
—
3
ダパグリフロジンプロピレングリコール錠
—
4
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠
—
5
セマグルチド錠
—
正解です!
解説で周術期の血栓症リスクと薬剤の関係を確認しましょう。
不正解です。正解は 4 です。
解説で周術期の血栓症リスクと薬剤の関係を確認しましょう。
解説を見る▼
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(ヤーズ®等)は、エチニルエストラジオール(合成エストロゲン)を含む低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(経口避妊薬・月経困難症治療薬)です。エストロゲンは肝臓での凝固因子産生を促進し血液を凝固しやすくするため、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症)のリスクを高めます。手術に伴う長時間の同一体位・安静臥床が血栓形成を助長するため、周術期には特に注意が必要です。
周術期の血栓症リスクとエストロゲン含有製剤
・エストロゲンは凝固因子(フィブリノゲン・第VII因子等)の産生を促進し、血栓症リスクを高める
・添付文書上、大手術の術前4週以内・術後2週以内は禁忌とされる代表的な薬剤群
・術前には可能な限り休薬を検討し、休薬しない場合は弾性ストッキングや抗凝固薬による血栓予防を強化する
・エストロゲンは凝固因子(フィブリノゲン・第VII因子等)の産生を促進し、血栓症リスクを高める
・添付文書上、大手術の術前4週以内・術後2週以内は禁忌とされる代表的な薬剤群
・術前には可能な限り休薬を検討し、休薬しない場合は弾性ストッキングや抗凝固薬による血栓予防を強化する
各選択肢の解説
× 1 メトホルミン塩酸塩錠:ビグアナイド系血糖降下薬。周術期は乳酸アシドーシスリスクのため休薬対象だが、血栓症リスクとは直接関係しない
× 2 サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物錠:ARNI(心不全治療薬)。血栓症リスクとは直接関係しない
× 3 ダパグリフロジンプロピレングリコール錠:SGLT2阻害薬。周術期はケトアシドーシスリスクのため休薬対象だが、血栓症リスクとは直接関係しない
◯ 4 ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠:エストロゲン含有製剤。血液凝固能を亢進させ、周術期の血栓症リスクが最も高い
× 5 セマグルチド錠:GLP-1受容体作動薬。周術期は消化管運動抑制による誤嚥リスク等が問題となるが、血栓症リスクとは直接関係しない
× 1 メトホルミン塩酸塩錠:ビグアナイド系血糖降下薬。周術期は乳酸アシドーシスリスクのため休薬対象だが、血栓症リスクとは直接関係しない
× 2 サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物錠:ARNI(心不全治療薬)。血栓症リスクとは直接関係しない
× 3 ダパグリフロジンプロピレングリコール錠:SGLT2阻害薬。周術期はケトアシドーシスリスクのため休薬対象だが、血栓症リスクとは直接関係しない
◯ 4 ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠:エストロゲン含有製剤。血液凝固能を亢進させ、周術期の血栓症リスクが最も高い
× 5 セマグルチド錠:GLP-1受容体作動薬。周術期は消化管運動抑制による誤嚥リスク等が問題となるが、血栓症リスクとは直接関係しない
| 薬剤 | 周術期の主な注意点 |
| メトホルミン | 乳酸アシドーシス(血栓症とは別機序) |
| サクビトリルバルサルタン | 血栓症リスクと直接関係なし |
| ダパグリフロジン | ケトアシドーシス(血栓症とは別機序) |
| ドロスピレノン・エチニルエストラジオール ★ | 凝固能亢進による血栓症リスク(術前休薬対象) |
| セマグルチド | 誤嚥リスク等(血栓症とは別機序) |
引っかけポイント:
・選択肢1・3・5(メトホルミン・ダパグリフロジン・セマグルチド):いずれも周術期に休薬が検討される代表的な薬剤ではあるが、注意すべきリスクは乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・誤嚥等であり、「血栓症」のリスクとは機序が異なる点に注意
・「周術期に休薬する薬=すべて血栓症リスクが高い」と一括りにせず、それぞれの薬が周術期に問題となる理由(機序)を個別に理解しておくことが本問のポイント
・エストロゲン含有製剤(経口避妊薬・ホルモン補充療法薬等)は、長期臥床・術後安静と組み合わさることで血栓リスクがさらに高まる点も押さえておくこと
・選択肢1・3・5(メトホルミン・ダパグリフロジン・セマグルチド):いずれも周術期に休薬が検討される代表的な薬剤ではあるが、注意すべきリスクは乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・誤嚥等であり、「血栓症」のリスクとは機序が異なる点に注意
・「周術期に休薬する薬=すべて血栓症リスクが高い」と一括りにせず、それぞれの薬が周術期に問題となる理由(機序)を個別に理解しておくことが本問のポイント
・エストロゲン含有製剤(経口避妊薬・ホルモン補充療法薬等)は、長期臥床・術後安静と組み合わさることで血栓リスクがさらに高まる点も押さえておくこと
関連問題
経口避妊薬(トリキュラー28等)の服薬指導については、以下の関連問題も参考にしてください。
経口避妊薬(トリキュラー28等)の服薬指導については、以下の関連問題も参考にしてください。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
エチニルエストラジオール含有製剤の添付文書には、大手術の術前4週以内・術後2週以内、または長期安静状態の患者への投与は禁忌と明記されています。月経困難症治療や避妊目的でこれらの薬剤を服用中の患者さんが手術予定になった場合は、術前に主治医・処方医と休薬時期を相談することが重要です。
薬剤師としては、手術予定の患者さんのお薬手帳を確認する際、経口避妊薬・ホルモン療法薬の有無をチェックし、休薬の要否について医療者間で情報共有できるよう働きかけることが期待されます。












