【第111回薬剤師国家試験】問185 尿潜血を伴わないタンパク尿を呈する疾患 解説

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第111回 問185
第111回 問185
理論問題|病態・薬物治療
尿潜血を伴わないタンパク尿を呈する疾患
問185 尿検査で、尿潜血を伴わないタンパク尿を呈しやすいのはどれか。2つ選べ。
1 腎盂腎炎
2 微小変化群
3 ループス腎炎
4 半月体形成性糸球体腎炎
5 糖尿病性腎症
正解です!
正答:2と5
×
不正解です
正答:2と5
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💡 整理の軸:「尿潜血を伴う」かどうかは、糸球体の炎症・破壊により赤血球が尿中に漏れるか否かで決まる。糸球体に炎症がなく、ろ過障壁(電荷・サイズ)の変化だけでタンパクが漏れる疾患では潜血は出ない。
選択肢疾患潜血タンパク尿解説
1 腎盂腎炎 △〜+ 軽度〜+ 細菌感染による腎盂・尿細管の炎症。白血球尿・膿尿が主体。尿潜血を伴う場合があり、タンパク尿は通常軽度。「尿潜血を伴わないタンパク尿」の代表ではない。
2 微小変化群 陰性 大量 ネフローゼ症候群の最多原因(小児)。糸球体基底膜の電荷バリアが失われアルブミンが大量漏出する。光学顕微鏡では変化なし(電顕で足突起融合)。血尿(潜血)はほぼ出ないのが特徴。
3 ループス腎炎 SLEに伴う免疫複合体性糸球体腎炎。増殖性変化を伴うことが多く、血尿・尿潜血が高頻度に出現する。タンパク尿と潜血が揃う典型例。
4 半月体形成性糸球体腎炎 ++ 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の主な組織像。糸球体の破壊が激しく、肉眼的血尿・尿潜血が顕著。タンパク尿も伴うが「潜血なし」とは真逆。
5 糖尿病性腎症 陰性〜軽微 +〜大量 高血糖による糸球体基底膜の肥厚・メサンギウム拡大で、ろ過障壁が変化しアルブミンが漏出(微量→顕性アルブミン尿)。炎症細胞浸潤がないため血尿はほとんど伴わない。潜血陰性のタンパク尿が特徴。
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1(腎盂腎炎):尿路感染症なので「タンパク尿+白血球尿」が主体。潜血が出ることもあり、「潜血なし」の代表ではない。
・選択肢3(ループス腎炎):SLE=自己免疫で糸球体炎症 → 血尿あり。タンパク尿と血尿が両方出る典型。
・選択肢4(半月体形成性糸球体腎炎):RPGNの組織像で最も激しい糸球体破壊 → 血尿が顕著。「潜血なし」の正反対。

📌 関連知識:ネフローゼ症候群の診断基準(4項目)
微小変化群・糖尿病性腎症が進行するとネフローゼ症候群に至る。診断には以下をセットで覚える。
①タンパク尿 3.5 g/日以上(必須)
②血清アルブミン 3.0 g/dL 以下(必須)
③浮腫
④脂質異常症(高コレステロール血症)
①②が必須で、③④は参考所見。「潜血なし+大量タンパク尿+低アルブミン+浮腫」という組み合わせが見えたらネフローゼを想起する。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

糖尿病患者の処方では尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の値に注目します。30 mg/gCr 以上で微量アルブミン尿(糖尿病性腎症 第2期)、300 mg/gCr 以上で顕性アルブミン尿(第3期)。この段階では潜血は通常陰性です。UACR が上昇しているのに潜血陽性なら、糖尿病性腎症以外の腎疾患(IgA 腎症など)の合併を疑い、腎生検を考慮する契機となります。処方箋の検査値欄で確認できる大切なポイントです。

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