第110回
問32
必須問題|薬理
グルタミン酸 NMDA 受容体を遮断するアルツハイマー型認知症治療薬
問32(薬理)
グルタミン酸 NMDA 受容体を遮断するアルツハイマー型認知症治療薬はどれか。1つ選べ。
1
リバスチグミン
—
2
ドネペジル
—
3
エダラボン
—
4
メマンチン
—
5
ガランタミン
—
正解です!
メマンチンが NMDA 受容体遮断薬であることを正しく理解しています。
不正解です。正解は 4 です。
解説でアルツハイマー型認知症治療薬の機序を整理しましょう。
解説を見る▼
【問32】グルタミン酸 NMDA 受容体を遮断するアルツハイマー型認知症治療薬
アルツハイマー型認知症(AD)の治療薬は作用機序で2系統に分かれる。
①コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬:アセチルコリン分解を抑制して認知機能を補う(ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミン)
②NMDA 受容体遮断薬:NMDA 受容体はCa2+ チャネル内蔵型受容体。AD では過剰なグルタミン酸によりこの受容体が持続的に刺激され、Ca2+ が細胞内に過剰流入して神経細胞死(興奮毒性)を招く。メマンチンはチャネルを電位依存的にブロックしてこれを抑制する(メマンチンのみ)
メマンチンは中等度〜高度の AD に適応があり、ChE 阻害薬との併用も可能。
①コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬:アセチルコリン分解を抑制して認知機能を補う(ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミン)
②NMDA 受容体遮断薬:NMDA 受容体はCa2+ チャネル内蔵型受容体。AD では過剰なグルタミン酸によりこの受容体が持続的に刺激され、Ca2+ が細胞内に過剰流入して神経細胞死(興奮毒性)を招く。メマンチンはチャネルを電位依存的にブロックしてこれを抑制する(メマンチンのみ)
メマンチンは中等度〜高度の AD に適応があり、ChE 阻害薬との併用も可能。
| 番号 | 薬剤名 | 作用機序・解説 |
|---|---|---|
| 1 | リバスチグミン | ChE 阻害薬(AChE・BuChE 両方を阻害)。貼付剤(イクセロンパッチ®・リバスタッチパッチ®)が特徴で、消化器副作用が軽減される。NMDA 受容体への作用はない。 |
| 2 | ドネペジル | ChE 阻害薬(AChE 選択的阻害)。アリセプト® として軽度〜高度 AD の全ステージに使用できる唯一の ChE 阻害薬。NMDA 受容体への作用はない。 |
| 3 | エダラボン | フリーラジカル消去薬。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行抑制に用いられる。アルツハイマー型認知症の治療薬ではなく、NMDA 受容体とも無関係。 |
| 4 ★ | メマンチン | NMDA 型グルタミン酸受容体の非競合的遮断薬(メマリー®)。AD では過剰なグルタミン酸による NMDA 受容体の持続的活性化が神経細胞死を招く(興奮毒性)。メマンチンはこのチャネルを電位依存的にブロックし、神経保護作用を発揮する。中等度〜高度 AD に適応。 |
| 5 | ガランタミン | ChE 阻害薬+ニコチン性受容体アロステリック増強(APL)作用。レミニール® が商品名。AChE 阻害に加えて、ニコチン性 ACh 受容体のアロステリック部位に結合して受容体の感度を高める「APL(Allosteric Potentiating Ligand)作用」という独自の二重作用を持つ。NMDA 受容体への作用はない。 |
引っかけポイント:
・選択肢1・2・5(ChE 阻害薬3種):ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミンはいずれも「コリン系」を増強する薬で、NMDA 受容体とは無関係。「アルツハイマー治療薬=コリン系」と単純に覚えると本問で誤答する。機序別に2系統(ChE 阻害 vs NMDA 遮断)で整理することが必須。
・選択肢3(エダラボン):「神経保護」というキーワードからメマンチンと混同しやすいが、エダラボンは ALS 治療薬(フリーラジカル消去)であり、AD 治療薬ではない。
・選択肢1・2・5(ChE 阻害薬3種):ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミンはいずれも「コリン系」を増強する薬で、NMDA 受容体とは無関係。「アルツハイマー治療薬=コリン系」と単純に覚えると本問で誤答する。機序別に2系統(ChE 阻害 vs NMDA 遮断)で整理することが必須。
・選択肢3(エダラボン):「神経保護」というキーワードからメマンチンと混同しやすいが、エダラボンは ALS 治療薬(フリーラジカル消去)であり、AD 治療薬ではない。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
アルツハイマー型認知症の治療薬は「ChE 阻害薬 3 種+メマンチン 1 種」の合計4薬剤が基本です。ChE 阻害薬は主に軽度〜中等度に、メマンチンは中等度〜高度に使用され、しばしば両者を併用します。
| 薬剤 | 商品名 | 機序 | 適応重症度 |
|---|---|---|---|
| ドネペジル | アリセプト® | AChE 選択的阻害 | 軽度〜高度(全ステージ) |
| リバスチグミン | イクセロンパッチ® 他 | AChE・BuChE 阻害(貼付剤) | 軽度〜中等度 |
| ガランタミン | レミニール® | AChE 阻害+ニコチン性 ACh 受容体増感(APL) | 軽度〜中等度 |
| メマンチン | メマリー® | NMDA 受容体遮断(非競合的) | 中等度〜高度 |
ChE 阻害薬の主な副作用は消化器症状(悪心・嘔吐・下痢)で、これはアセチルコリン増加による M 受容体刺激が原因です。貼付剤(リバスチグミン)は消化器副作用が軽減される点を服薬指導で活かしましょう。
実務の視点として、アセチルコリンを高める ChE 阻害薬は「無為・自閉(無気力・引きこもり)」に向いており、過剰な興奮を抑えるメマンチンは「攻撃性・易怒性(イライラ・暴力)」に向いているという BPSD(周辺症状)に合わせた使い分けのイメージも持っておくと実戦的です。










