【第110回薬剤師国家試験】問150 薬剤師と実務実習生の会話・コミュニケーション技法 解説

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第110回 問150
第110回 問150
理論問題|法規・制度・倫理
薬剤師と実務実習生の会話・コミュニケーション技法
問150(理論)
薬剤師と実務実習生の会話である。会話内容に関する記述として適切なのはどれか。2つ選べ。
薬 剤 師:
初めての服薬指導はうまくできましたか?
実務実習生:
いいえ、あまりうまくできませんでした。
薬 剤 師:
①どのあたりがうまくいかないと思ったのですか?
実務実習生:
本当の患者さんを前にして緊張してしまい、準備した資料が気になって②患者さんの目をあまり見られませんでした
薬 剤 師:
③初めての服薬指導は緊張しますよね。それで、緊張して患者さんの目を見てお話ができなかったと感じているのですね。
実務実習生:
そうなんです。
薬 剤 師:
私が見ていた感想としては、④漏れなく情報を伝えられたのは非常に良かったです。患者さんの目を見てお話できなかった点は改善すべきですが、患者さんの気持ちに寄り添ってお話しようと取り組んでいたのは素晴らしかったです。
実務実習生:
ありがとうございます。次回は患者さんの目を見てお話することを意識してみます。
1
①で薬剤師は、実務実習生が考えや気持ちを話せるように、閉じた質問を行った。
2
②で実務実習生は、言語コミュニケーションがうまくできなかったことを伝えた。
3
③で薬剤師は、実務実習生の話を理解していることを伝えるために、実務実習生が話した内容を共感的に繰り返した。
4
④で薬剤師は、Positive・Negative・Positiveを活用してフィードバックした。
5
実務実習生は、薬剤師との会話の中で終始、非主張的な反応を示していた。
正解です!
解説でコミュニケーション技法(開かれた質問・反射・PNPフィードバック)を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 3、4 です。
解説でコミュニケーション技法(開かれた質問・反射・PNPフィードバック)を確認しましょう。
解説を見る

指導薬剤師と実務実習生の振り返り面談の場面から、コミュニケーション技法(開かれた質問・閉じた質問、言語/非言語コミュニケーション、反射・共感的傾聴、フィードバック技法)を読み取る問題です。

本問で扱われるコミュニケーション技法
開かれた質問(オープン・クエスチョン):「はい/いいえ」で答えられない、相手が自由に考えや気持ちを話せる質問。①「どのあたりがうまくいかないと思ったのですか?」はこれに該当する(閉じた質問ではない)
言語・非言語コミュニケーション:言葉によるやり取りが「言語コミュニケーション」、視線・表情・態度などが「非言語コミュニケーション」。②の「患者さんの目をあまり見られなかった」はアイコンタクト(視線)に関する内容であり、非言語コミュニケーションの問題である
反射(共感的傾聴):相手が話した内容を、共感を示しながら言い換えて返す技法。③の発言(「緊張して目を見て話せなかったと感じているのですね」)はこの反射にあたる
Positive-Negative-Positive(PNP)フィードバック(サンドイッチ法):肯定的評価→改善点(否定的評価)→肯定的評価、という順でフィードバックを行うことで、相手が前向きに改善点を受け止めやすくする技法。④の発言はまさにこの構成になっている
各選択肢の解説
× 1 ①の質問は「どのあたりが」と自由に答えられる開かれた質問であり、「閉じた質問」ではない
× 2 ②で実務実習生が伝えたのは「患者さんの目を見られなかった」という非言語コミュニケーション(アイコンタクト)の問題であり、言語コミュニケーションの問題ではない
◯ 3 ③で薬剤師は、実務実習生が話した内容を共感的に繰り返す「反射」を行っており、話を理解していることを伝える技法として正しい記述である
◯ 4 ④の発言は、良い点(情報を漏れなく伝えられた)→改善点(目を見て話せなかった)→良い点(患者に寄り添う姿勢)というPositive-Negative-Positiveの構成になっており、正しい記述である
× 5 実務実習生は、正直に状況を説明し(「緊張してしまい~」)、フィードバックを前向きに受け止め(「ありがとうございます。次回は~意識してみます」)ており、終始「非主張的(受け身で自分の意見を言わない)」な反応とは言えない
引っかけポイント:
・選択肢1:「開かれた質問」と「閉じた質問」を取り違えている典型的な誤り選択肢。質問の答え方が自由か、Yes/Noで答えられるかで判断する
・選択肢2:「言語」と「非言語」コミュニケーションの区別を誤らせるひっかけ。視線・アイコンタクトは非言語コミュニケーションに分類される
・選択肢5:実務実習生の発言を注意深く追うと、単なる受け身の反応ではなく、状況説明・同意・前向きな改善意欲を示していることが分かる。会話全体を通して評価する必要がある
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

PNP(サンドイッチ)フィードバックは、実務実習の指導だけでなく、後輩薬剤師や新人スタッフの指導、さらには患者さんへの生活習慣改善のアドバイスなど、さまざまな場面で応用できるコミュニケーション技法です。いきなり「ここがダメでしたね」と指摘するのではなく、まず良かった点を認めてから改善点を伝え、最後にもう一度ポジティブな評価で締めくくることで、相手が防衛的にならず、素直にフィードバックを受け止めやすくなります。

また、開かれた質問(オープン・クエスチョン)を使うことで、患者さんや後輩から本音や具体的な状況を引き出しやすくなります。「うまくいきましたか?」(閉じた質問)ではなく「どんなところが難しかったですか?」(開かれた質問)と尋ねる習慣は、日々のコミュニケーションの質を高める第一歩です。

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