【第110回薬剤師国家試験】問173 イヌリンクリアランスとクレアチニンクリアランス 解説

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第110回 問173
第110回 問173
理論問題|薬剤
イヌリンクリアランスとクレアチニンクリアランス
問173(理論)
腎機能が低下したある患者のイヌリンクリアランスが30 mL/min/1.73 m2、クレアチニンクリアランスが50 mL/min/1.73 m2であった。この患者の腎機能に関する記述として適切なのはどれか。2つ選べ。

ただし、クレアチニンは血漿タンパク質に結合せず、尿細管で再吸収されないものとする。
1
糸球体ろ過速度は20 mL/min/1.73 m2と推定できる。
2
イヌリンの尿細管での再吸収クリアランスは20 mL/min/1.73 m2と推定できる。
3
クレアチニンの尿細管分泌クリアランスは20 mL/min/1.73 m2と推定できる。
4
糸球体ろ過速度が正常なときより、イヌリンクリアランスは大きいと考えられる。
5
糸球体ろ過速度が正常なときより、クレアチニンクリアランスは小さいと考えられる。
正解です!
解説でイヌリン・クレアチニンの腎臓での挙動を確認しましょう。
×
不正解です。正解は 3、5 です。
解説でイヌリン・クレアチニンの腎臓での挙動を確認しましょう。
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イヌリンは糸球体で自由にろ過され、尿細管での再吸収・分泌を一切受けないため、そのクリアランスは糸球体ろ過速度(GFR)そのものと一致する「ゴールドスタンダード」です。一方クレアチニンは糸球体ろ過に加えて尿細管からの分泌も受けるため、そのクリアランスはGFRをやや過大評価します。この違いを正確に理解することがポイントです。

イヌリンとクレアチニンの腎臓での挙動
イヌリン:血漿タンパク非結合、糸球体で自由にろ過され、尿細管での再吸収・分泌は一切なし。よってイヌリンクリアランス=GFR(本症例では30 mL/min/1.73 m2
クレアチニン:血漿タンパク非結合、糸球体で自由にろ過されるが、近位尿細管から能動的に分泌される(再吸収はなし、と問題文で規定)。よってクレアチニンクリアランス(Ccr)=GFR+尿細管分泌クリアランス
・したがって、クレアチニンの尿細管分泌クリアランス = Ccr - GFR = 50 - 30 = 20 mL/min/1.73 m2
各選択肢の解説
× 1 GFRはイヌリンクリアランスそのものであり、30 mL/min/1.73 m2である(20ではない)
× 2 イヌリンは尿細管で再吸収されないため、再吸収クリアランスは0であり、20という値は誤り
◯ 3 クレアチニンの尿細管分泌クリアランス=Ccr-GFR=50-30=20 mL/min/1.73 m2という推定は正しい
× 4 本症例はGFRが30と低下しており、イヌリンクリアランス(=GFR)は正常時(約100〜120)より小さい。「大きい」という記述は誤り
◯ 5 GFRの低下に伴いクレアチニンクリアランスも正常時より小さくなると考えられ、この記述は正しい
引っかけポイント:
・選択肢1:GFRの推定値としてイヌリンクリアランス(30)ではなく、Ccr-イヌリンクリアランスの差分(20)を誤って当てはめてしまう
・選択肢2:イヌリンは尿細管で再吸収も分泌も受けないという大前提を見落とし、Ccrとの差分(20)を「再吸収クリアランス」と誤認してしまう
・選択肢4:「腎機能が低下した患者」という設定を見落とし、GFRやクリアランスの大小関係を逆に判断してしまう
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

イヌリンクリアランスはGFRのゴールドスタンダードですが、外因性投与が必要で臨床では煩雑なため、実務では内因性クレアチニンクリアランス(Ccr)や血清クレアチニン値をもとにしたeGFRが広く使われています。クレアチニンは尿細管分泌の影響でCcrがGFRをやや過大評価する点は覚えておきましょう。

腎排泄型薬物(アシクロビル・レベチラセタム・メトホルミンなど)の用量調節は、CcrやeGFRをもとに行われます。腎機能が低下している患者さんでは、これらの薬物の投与量・投与間隔が適切かを必ず確認することが実務上重要です。

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