第110回
問174
理論問題|薬剤
腎排泄過程における相互作用
問174(理論)
薬物の腎排泄過程における相互作用により血中濃度が上昇する薬物、併用薬、関与するトランスポーターの組合せとして、正しいのはどれか。2つ選べ。
| 薬物 | 併用薬 | トランスポーター | ||
| 1 | プロカインアミド | シメチジン | ペプチドトランスポーターPEPT1 | — |
| 2 | メトホルミン | リファンピシン | 有機アニオントランスポーターOATP1B1 | — |
| 3 | メトトレキサート | プロベネシド | 有機アニオントランスポーターOAT1、OAT3 | — |
| 4 | ジゴキシン | ベラパミル | P-糖タンパク質 | — |
| 5 | シクロスポリン | シスプラチン | 有機カチオントランスポーターOCT2 | — |
正解です!
解説で各トランスポーターと基質・阻害薬の関係を確認しましょう。
不正解です。正解は 3、4 です。
解説で各トランスポーターと基質・阻害薬の関係を確認しましょう。
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薬物の腎尿細管分泌には、有機アニオントランスポーター(OAT)、有機カチオントランスポーター(OCT/MATE)、P-糖タンパク質(P-gp)など複数のトランスポーターが関与します。基質薬物と阻害薬(併用薬)、そして関与するトランスポーターの正しい組合せを押さえることがポイントです。
各組合せの正しい関係
・プロカインアミド+シメチジン:両薬物はともに有機カチオンであり、腎尿細管分泌に関与する有機カチオントランスポーター(OCT2)を competition することで、プロカインアミドの血中濃度が上昇する(ペプチドトランスポーターPEPT1は無関係)
・メトホルミン+リファンピシン:メトホルミンは有機カチオンであり、腎排泄にはOCT2・MATE1/2-Kが関与する(OATP1B1は主に肝臓の有機アニオン取り込みトランスポーターであり、有機カチオンであるメトホルミンやリファンピシンとの相互作用の説明には該当しない)
・メトトレキサート+プロベネシド:メトトレキサートは有機アニオンであり、腎尿細管分泌に関与するOAT1・OAT3をプロベネシドが競合的に阻害することで、メトトレキサートの血中濃度が上昇し、重篤な骨髄抑制等のリスクが高まる
・ジゴキシン+ベラパミル:ジゴキシンはP-糖タンパク質の基質であり、ベラパミルはP-gpの基質かつ阻害薬である。併用によりジゴキシンの腎・胆道からの排泄(P-gp介在)が阻害され、血中濃度が上昇する
・シクロスポリン+シスプラチン:この組合せは腎排泄過程における血中濃度上昇の相互作用としては典型例ではない(シスプラチンはOCT2を介して腎尿細管細胞に取り込まれ腎毒性を示すことが知られるが、シクロスポリンの血中濃度上昇機序としては該当しない)
・プロカインアミド+シメチジン:両薬物はともに有機カチオンであり、腎尿細管分泌に関与する有機カチオントランスポーター(OCT2)を competition することで、プロカインアミドの血中濃度が上昇する(ペプチドトランスポーターPEPT1は無関係)
・メトホルミン+リファンピシン:メトホルミンは有機カチオンであり、腎排泄にはOCT2・MATE1/2-Kが関与する(OATP1B1は主に肝臓の有機アニオン取り込みトランスポーターであり、有機カチオンであるメトホルミンやリファンピシンとの相互作用の説明には該当しない)
・メトトレキサート+プロベネシド:メトトレキサートは有機アニオンであり、腎尿細管分泌に関与するOAT1・OAT3をプロベネシドが競合的に阻害することで、メトトレキサートの血中濃度が上昇し、重篤な骨髄抑制等のリスクが高まる
・ジゴキシン+ベラパミル:ジゴキシンはP-糖タンパク質の基質であり、ベラパミルはP-gpの基質かつ阻害薬である。併用によりジゴキシンの腎・胆道からの排泄(P-gp介在)が阻害され、血中濃度が上昇する
・シクロスポリン+シスプラチン:この組合せは腎排泄過程における血中濃度上昇の相互作用としては典型例ではない(シスプラチンはOCT2を介して腎尿細管細胞に取り込まれ腎毒性を示すことが知られるが、シクロスポリンの血中濃度上昇機序としては該当しない)
各選択肢の解説
× 1 プロカインアミドとシメチジンの相互作用はOCT2を介するものであり、ペプチドトランスポーターPEPT1(セフェム系抗菌薬などの基質)は無関係
× 2 メトホルミンの腎排泄に関与するのはOCT2・MATEであり、OATP1B1(肝取り込み・有機アニオン系)ではない
◯ 3 メトトレキサートとプロベネシドがOAT1・OAT3を介して相互作用するという組合せは正しい
◯ 4 ジゴキシンとベラパミルがP-糖タンパク質を介して相互作用するという組合せは正しい
× 5 シクロスポリンとシスプラチンの組合せは、腎排泄過程における血中濃度上昇の相互作用として典型的なものではない
× 1 プロカインアミドとシメチジンの相互作用はOCT2を介するものであり、ペプチドトランスポーターPEPT1(セフェム系抗菌薬などの基質)は無関係
× 2 メトホルミンの腎排泄に関与するのはOCT2・MATEであり、OATP1B1(肝取り込み・有機アニオン系)ではない
◯ 3 メトトレキサートとプロベネシドがOAT1・OAT3を介して相互作用するという組合せは正しい
◯ 4 ジゴキシンとベラパミルがP-糖タンパク質を介して相互作用するという組合せは正しい
× 5 シクロスポリンとシスプラチンの組合せは、腎排泄過程における血中濃度上昇の相互作用として典型的なものではない
引っかけポイント:
・選択肢1:実際にはOCT2を介する相互作用であるところ、無関係なペプチドトランスポーターPEPT1にすり替えられている
・選択肢2:メトホルミンの基本的な輸送体(OCT2・MATE)が、肝臓の有機アニオン取り込みトランスポーターであるOATP1B1にすり替えられている(薬物の電荷(カチオン⇔アニオン)とトランスポーターの種類が一致しない点に注目する)
・選択肢5:シスプラチンがOCT2に関連する薬剤であることは事実だが、シクロスポリンとの組合せとして「血中濃度上昇」の相互作用にすり替えられている
・選択肢1:実際にはOCT2を介する相互作用であるところ、無関係なペプチドトランスポーターPEPT1にすり替えられている
・選択肢2:メトホルミンの基本的な輸送体(OCT2・MATE)が、肝臓の有機アニオン取り込みトランスポーターであるOATP1B1にすり替えられている(薬物の電荷(カチオン⇔アニオン)とトランスポーターの種類が一致しない点に注目する)
・選択肢5:シスプラチンがOCT2に関連する薬剤であることは事実だが、シクロスポリンとの組合せとして「血中濃度上昇」の相互作用にすり替えられている
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
メトトレキサートとプロベネシドやNSAIDsとの併用は、腎排泄の阻害によりメトトレキサートの血中濃度が上昇し、重篤な骨髄抑制・粘膜炎・肝障害を引き起こすリスクがあるため、実務上は特に注意が必要な組合せです。関節リウマチ治療でメトトレキサートを服用中の患者さんがNSAIDsの追加を希望される場合は、必ず相互作用を確認しましょう。
ジゴキシンとベラパミルの併用も、P-gp阻害によるジゴキシン中毒(悪心・不整脈・視覚異常など)のリスクがあるため、併用時は定期的な血中濃度モニタリング(TDM)が推奨されます。トランスポーターが関与する相互作用は、薬物の電荷(アニオン性かカチオン性か)を意識すると整理しやすくなります。












