【第110回薬剤師国家試験】問30 オレキシン受容体を選択的に遮断して睡眠を誘導する薬 解説

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第110回 問30
第110回 問30
必須問題|薬理
オレキシン受容体を選択的に遮断して睡眠を誘導する薬
問30(薬理)
オレキシン受容体を選択的に遮断することで、睡眠を誘導するのはどれか。1つ選べ。
1
ヒドロキシジン
2
リルマザホン
3
レンボレキサント
4
ゾピクロン
5
ペントバルビタール
正解です!
レンボレキサントがオレキシン受容体遮断薬であることを正しく理解しています。
×
不正解です。正解は 3 です。
解説で各睡眠薬の作用機序を整理しましょう。
解説を見る

【問30】オレキシン受容体を選択的に遮断して睡眠を誘導する薬

オレキシン受容体拮抗薬は、覚醒を維持するペプチド「オレキシン(ヒポクレチン)」の受容体(OX1R・OX2R)を選択的に遮断することで、脳の覚醒システムをオフにして自然に近い睡眠を誘導する。
レンボレキサント(デエビゴ®)とスボレキサント(ベルソムラ®)が代表薬。依存性・筋弛緩作用が少なく、翌日への持ち越し効果も比較的少ない点が特徴。
番号薬剤名作用機序・解説
1 ヒドロキシジン H1 受容体遮断薬(抗ヒスタミン薬)。ヒスタミンの覚醒促進作用を遮断することで鎮静・催眠効果をもたらす。アタラックス-P® として術前投薬や皮膚掻痒症にも使用。オレキシン受容体への作用はない。
2 リルマザホン ベンゾジアゼピン系睡眠薬(プロドラッグ型)。GABAA 受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、Cl チャネル開口頻度を増加させて中枢抑制をもたらす。リズミック® が商品名。オレキシン受容体への作用はない。
3 ★ レンボレキサント オレキシン受容体拮抗薬(OX1R・OX2R 二重遮断)。覚醒を維持するオレキシンの受容体を選択的にブロックし、自然に近い睡眠を誘導する。デエビゴ® として不眠症に使用。入眠困難・中途覚醒の両方に効果を示す。
4 ゾピクロン 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(Z薬)。GABAA 受容体のω1 サブユニットに選択的に作用してCl チャネルを開口し、催眠効果をもたらす。アモバン® が商品名。ベンゾジアゼピン系より筋弛緩・依存性が少ないが、オレキシン受容体への作用はない。
5 ペントバルビタール バルビツール酸系睡眠薬。GABAA 受容体のバルビツール酸結合部位に作用し、Cl チャネルの開口時間を延長させる(ベンゾジアゼピン系は開口頻度を増加)。治療域が狭く過量投与による呼吸抑制リスクが高い。現在は麻酔・安楽死以外への臨床使用はほぼない。
引っかけポイント:
選択肢2(リルマザホン):「ベンゾジアゼピン系」と聞くと典型的なジアゼパムを連想しやすいが、リルマザホンはプロドラッグ型のベンゾジアゼピン系。作用点は GABAA 受容体であり、オレキシン受容体とは無関係。
選択肢4(ゾピクロン):「非ベンゾジアゼピン系=新しい睡眠薬」というイメージから正解と誤解しやすい。しかし作用点は GABAA 受容体(ω1)であり、オレキシン系とは全く異なる。
選択肢5(ペントバルビタール):バルビツール酸系は GABAA 受容体の「開口時間を延長」(BZD系は「開口頻度を増加」)という違いは超必須の暗記事項。加えて、バルビツール酸系は肝臓の ALA 合成酵素を誘導してポルフィリン産生を促進するため、急性間欠性ポルフィリン症の患者には禁忌。アトロピン+閉塞隅角緑内障と並ぶ「禁忌の定番ペア」として押さえておくこと。
臨床メモ
あおい
薬剤師 あおい

睡眠薬は作用機序ごとに大きく4系統に分かれます。国試では「どの受容体に作用するか」と「BZD系のClチャネルへの作用の違い(開口頻度 vs 開口時間)」が繰り返し問われます。

系統 代表薬 作用点 特徴
オレキシン受容体拮抗薬レンボレキサント、スボレキサントOX1R・OX2R 遮断依存性・筋弛緩↓、自然な睡眠
メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(ロゼレム®)視交叉上核の MT1・MT2 刺激体内時計を整える。依存性・筋弛緩作用皆無。高齢者・交代勤務にも使いやすい
非BZD系(Z薬)ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデムGABAA1 選択的BZD系より筋弛緩・依存性少
BZD系ニトラゼパム、トリアゾラムGABAA-BZD部位(開口頻度↑)筋弛緩・依存性あり
バルビツール酸系ペントバルビタールGABAA-BARBサイト(開口時間↑)治療域狭い、現在ほぼ不使用

オレキシン系薬の最大の強みは「依存性・筋弛緩(転倒リスク)が低く、高齢者に使いやすい」こと。さらにベンゾジアゼピン系のようにレム睡眠を減らしてしまうことがないため、睡眠構造を自然な形に保てるのも臨床上の大きなメリットです。

同じオレキシン拮抗薬でも実務上の違いがあります。スボレキサント(ベルソムラ®)は主に CYP3A4 で代謝されるため、イトラコナゾールやクラリスロマイシンなど強力な CYP3A4 阻害薬が併用禁忌。一方、レンボレキサント(デエビゴ®)は同じ阻害薬との組み合わせが併用注意にとどまります。飲酒との組み合わせで効果が増強する点も服薬指導で必ず伝えましょう。

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