第111回
問134
理論問題|衛生
化学物質の安全性評価
問134 化学物質の安全性評価に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1
化学物質の無毒性量(NOAEL)は、急性毒性試験から推定される。
—
2
遺伝毒性発がん物質の安全性評価の指標として、実質安全量(VSD)を用いる。
—
3
動物実験データからNOAELが得られない場合に、ベンチマークドーズ(BMD)法が用いられることがある。
—
4
許容一日摂取量(ADI)は、閾値がない化学物質に適用される指標である。
—
5
農薬のADIは、ヒト及び生態系への影響を考慮して決められている。
—
正解です!
安全性評価の各指標(NOAEL・VSD・BMD・ADI)を正確に把握できています。
不正解です。正解は 2 と 3 です。
解説で各指標の定義と適用対象を確認しましょう。
解説を見る
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安全性評価の主要指標の整理
・NOAEL(無毒性量):反復投与毒性試験(亜急性・慢性)から得られる。急性試験ではない
・ADI(許容一日摂取量)= NOAEL ÷ 安全係数(通常100)。閾値あり物質(農薬・食品添加物等)に適用
・VSD(実質安全量):生涯発がんリスクが10⁻⁵〜10⁻⁶以下となる用量。閾値なしの遺伝毒性発がん物質に適用
・BMD法:用量反応モデルから統計的に算出するNOAELの代替手法
・NOAEL(無毒性量):反復投与毒性試験(亜急性・慢性)から得られる。急性試験ではない
・ADI(許容一日摂取量)= NOAEL ÷ 安全係数(通常100)。閾値あり物質(農薬・食品添加物等)に適用
・VSD(実質安全量):生涯発がんリスクが10⁻⁵〜10⁻⁶以下となる用量。閾値なしの遺伝毒性発がん物質に適用
・BMD法:用量反応モデルから統計的に算出するNOAELの代替手法
【各選択肢の解説】
| 選択肢 | 記述 | 判定・理由 |
|---|---|---|
| 1 | NOAEL:急性毒性試験から推定 | × NOAELは反復投与毒性試験(亜急性毒性試験・慢性毒性試験)から得られる。急性毒性試験から得られるのはLD₅₀(半数致死量)などであり、NOAELではない |
| 2 ★ | 遺伝毒性発がん物質:VSD(実質安全量)を用いる | ◯ 遺伝毒性発がん物質は閾値がないと考えられるため、NOAEL→ADIの算出ができない。代わりにVSD(Virtual Safe Dose)を用い、生涯発がんリスクが許容レベル(10⁻⁵〜10⁻⁶)以下となる用量を安全性評価の指標とする |
| 3 ★ | NOAELが得られない場合→BMD法を使用 | ◯ BMD(Benchmark Dose)法は用量反応データに数学モデルをあてはめ、あらかじめ設定した応答率(BMR:例えば10%増加)に対応する用量(BMD)と信頼下限値(BMDL)を統計的に算出する手法。NOAELが得られない場合や、データのバラつきを考慮したい場合の代替として用いられる |
| 4 | ADI:閾値がない化学物質に適用 | × ADIは閾値がある化学物質(農薬・食品添加物など)に適用される。ADI=NOAEL÷安全係数(通常100=種差10×個人差10)で算出される。閾値がない遺伝毒性発がん物質にはADIではなくVSD(実質安全量)を用いる |
| 5 | 農薬のADI:ヒト及び生態系への影響を考慮 | × ADIはあくまでヒトへの健康影響を基準に設定される(NOAEL÷安全係数)。生態系への影響は別途、環境リスク評価(生態毒性試験・PNEC算出など)で評価されるものであり、ADIの算出根拠には含まれない |
⚠️ 引っかけポイント(選択肢順):
・選択肢1:NOAELは「急性」ではなく反復投与毒性試験(亜急性・慢性)から得る
・選択肢4:ADIは「閾値なし」ではなく閾値あり物質に適用。閾値なしにはVSD(選択肢2と逆の関係)
・選択肢5:ADIはヒト健康影響のみ。生態系は別の環境リスク評価で評価
・選択肢1:NOAELは「急性」ではなく反復投与毒性試験(亜急性・慢性)から得る
・選択肢4:ADIは「閾値なし」ではなく閾値あり物質に適用。閾値なしにはVSD(選択肢2と逆の関係)
・選択肢5:ADIはヒト健康影響のみ。生態系は別の環境リスク評価で評価
臨床メモ
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薬剤師 あおい
ADIは農薬・食品添加物の残留基準の根拠となる数値です。「安全係数100」の内訳(種差10×個人差10)を知っておくと、患者さんから「農薬は大丈夫?」と聞かれたときに「ADIの100分の1以下に設定されているので、通常の食生活では問題ありません」と根拠を持って説明できます。
遺伝毒性発がん物質(閾値なし)の考え方は、アフラトキシン・ベンゾ[a]ピレン・一部の農薬などに適用されます。「ゼロリスクは不可能だが、VSDを用いて許容できるリスクレベルに管理する」という考え方は、リスクコミュニケーションの場面でも役立ちます。










