第110回
問29
必須問題|薬理
ロクロニウムの筋弛緩作用に関わる作用点
問29(薬理)
ロクロニウムの筋弛緩作用に関わる作用点はどれか。1つ選べ。
1
アセチルコリン NM 受容体
—
2
電位依存性 Na+ チャネル
—
3
リアノジン受容体
—
4
コリンアセチルトランスフェラーゼ
—
5
コリンエステラーゼ
—
正解です!
ロクロニウムが NM 受容体を競合的に遮断して筋弛緩をもたらすことを正しく理解しています。
不正解です。正解は 1 です。
解説でロクロニウムの作用点を確認しましょう。
解説を見る▼
【問29】ロクロニウムの筋弛緩作用に関わる作用点
ロクロニウムは非脱分極性(競合性)筋弛緩薬。
神経筋接合部の骨格筋側に存在するアセチルコリン NM 受容体(ニコチン性受容体)を競合的に遮断し、アセチルコリンが受容体に結合できなくすることで骨格筋の弛緩(筋弛緩)をもたらす。
全身麻酔の気管挿管や手術中の筋弛緩維持に使用され、拮抗薬はスガマデクスまたはネオスチグミン。
神経筋接合部の骨格筋側に存在するアセチルコリン NM 受容体(ニコチン性受容体)を競合的に遮断し、アセチルコリンが受容体に結合できなくすることで骨格筋の弛緩(筋弛緩)をもたらす。
全身麻酔の気管挿管や手術中の筋弛緩維持に使用され、拮抗薬はスガマデクスまたはネオスチグミン。
【受容体総論の視点】NM 受容体の構造的特徴
骨格筋終板の NM 受容体は五量体(α2βγδ)からなるNa+ チャネル内蔵型受容体。通常はアセチルコリンが 2 分子結合するとチャネルが開き、Na+ が細胞内へ流入して脱分極(活動電位)→筋収縮が起こる。ロクロニウムはアセチルコリンの結合部位を競合的にブロックし、チャネルを一切開かせずに骨格筋を完全な弛緩(麻痺)状態へ導く。
骨格筋終板の NM 受容体は五量体(α2βγδ)からなるNa+ チャネル内蔵型受容体。通常はアセチルコリンが 2 分子結合するとチャネルが開き、Na+ が細胞内へ流入して脱分極(活動電位)→筋収縮が起こる。ロクロニウムはアセチルコリンの結合部位を競合的にブロックし、チャネルを一切開かせずに骨格筋を完全な弛緩(麻痺)状態へ導く。
| 番号 | 作用点 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 ★ | アセチルコリン NM 受容体 | ロクロニウムの正答作用点。神経筋接合部の骨格筋側にある NM(ニコチン性ムスコロ)受容体を競合的に遮断し、アセチルコリンの結合を妨げることで骨格筋が弛緩する。NM 受容体はイオンチャネル内蔵型(Na+・K+ チャネル)であり、アセチルコリンが結合すると脱分極が起きるが、ロクロニウムはこれを阻止する。 |
| 2 | 電位依存性 Na+ チャネル | 電位依存性 Na+ チャネルの遮断は局所麻酔薬(リドカインなど)の機序。神経インパルスの伝導を遮断して知覚・運動を麻痺させるが、ロクロニウムの作用点ではない。 |
| 3 | リアノジン受容体 | リアノジン受容体は筋小胞体膜上の Ca2+ 放出チャネル。ダントロレンはリアノジン受容体を遮断して Ca2+ 放出を抑制し、悪性高熱症の治療に用いられる。ロクロニウムの作用点ではない。 |
| 4 | コリンアセチルトランスフェラーゼ | コリンアセチルトランスフェラーゼはアセチルコリンを合成する酵素(コリン+アセチルCoA → アセチルコリン)。この酵素を阻害する薬物が筋弛緩薬として臨床使用されているわけではなく、ロクロニウムの作用点でもない。 |
| 5 | コリンエステラーゼ | コリンエステラーゼはシナプス間隙のアセチルコリンを分解する酵素。これを阻害するとアセチルコリンが蓄積し、逆に筋収縮が持続する(コリン作動性クリーゼ)。ネオスチグミンはコリンエステラーゼ阻害薬で、ロクロニウムの効果を拮抗するために使われる。 |
引っかけポイント:
・選択肢3(リアノジン受容体):悪性高熱症治療のダントロレンと混同しやすい。ロクロニウムは神経筋接合部の受容体遮断であり、筋小胞体の Ca2+ には直接関与しない。
・選択肢5(コリンエステラーゼ)の「禁忌」の罠:ネオスチグミン(コリンエステラーゼ阻害)はアセチルコリンを増やしてロクロニウムを受容体から追い出すため、非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬として有効。しかし脱分極性筋弛緩薬(スキサメトニウム)に対しては逆に作用を著しく増強・延長(禁忌)させる。スキサメトニウムはコリンエステラーゼで分解されるため、これを阻害すると脱分極がさらに持続し、呼吸筋麻痺が遷延する致命的な事態を招く。また「コリンエステラーゼ(分解)」と「コリンアセチルトランスフェラーゼ(合成)」の役割の混同にも注意。
・選択肢3(リアノジン受容体):悪性高熱症治療のダントロレンと混同しやすい。ロクロニウムは神経筋接合部の受容体遮断であり、筋小胞体の Ca2+ には直接関与しない。
・選択肢5(コリンエステラーゼ)の「禁忌」の罠:ネオスチグミン(コリンエステラーゼ阻害)はアセチルコリンを増やしてロクロニウムを受容体から追い出すため、非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬として有効。しかし脱分極性筋弛緩薬(スキサメトニウム)に対しては逆に作用を著しく増強・延長(禁忌)させる。スキサメトニウムはコリンエステラーゼで分解されるため、これを阻害すると脱分極がさらに持続し、呼吸筋麻痺が遷延する致命的な事態を招く。また「コリンエステラーゼ(分解)」と「コリンアセチルトランスフェラーゼ(合成)」の役割の混同にも注意。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
ロクロニウムは非脱分極性筋弛緩薬の代表格で、気管挿管時に最もよく使われます。拮抗薬はスガマデクス(ブリディオン®)が第一選択です。スガマデクスによる拮抗は、ネオスチグミンのように「アセチルコリンを増やして受容体を競合的に奪い返す」のではなく、血中のロクロニウム分子をそっくりそのまま包み込んで(包摂して)無力化するという全く新しい中和メカニズムです。そのため自律神経系への副作用(M 受容体刺激による徐脈など)を起こさずに、一瞬で筋弛緩から回復させることができます。
脱分極性 vs 非脱分極性の比較は国試頻出です。整理しておきましょう。
| 分類 | 代表薬 | NM受容体への作用 | 拮抗薬 |
|---|---|---|---|
| 非脱分極性(競合性) | ロクロニウム、ベクロニウム | 競合的遮断(脱分極なし) | スガマデクス、ネオスチグミン |
| 脱分極性 | スキサメトニウム(サクシニルコリン) | 持続的脱分極→弛緩 | なし(コリンエステラーゼ阻害で悪化) |
スキサメトニウムは作用発現が極めて速く、緊急挿管(RSI)に使われますが、悪性高熱症・高カリウム血症のリスクがあるため注意が必要です。










