第110回
問31
必須問題|薬理
タンドスピロンの抗不安作用に関わる作用点
問31(薬理)
タンドスピロンの抗不安作用に関わる作用点はどれか。1つ選べ。
1
ドパミン D2 受容体
—
2
γ-アミノ酪酸 GABAA 受容体
—
3
ニコチン性アセチルコリン受容体
—
4
セロトニン 5-HT1A 受容体
—
5
ヒスタミン H1 受容体
—
正解です!
タンドスピロンが 5-HT1A 受容体部分作動薬であることを正しく理解しています。
不正解です。正解は 4 です。
解説でタンドスピロンの作用点を確認しましょう。
解説を見る▼
【問31】タンドスピロンの抗不安作用に関わる作用点
タンドスピロン(セディール®)はセロトニン 5-HT1A 受容体の部分作動薬(パーシャルアゴニスト)。
縫線核の 5-HT1A 自己受容体(Gi 共役)を刺激してセロトニン神経の発火を抑制し、不安・緊張を緩和する。ベンゾジアゼピン系と異なり依存性・筋弛緩作用・鎮静が少なく、連用後の急な中止による離脱症状もほとんどない。効果発現まで数日〜2週間かかる点に注意。
縫線核の 5-HT1A 自己受容体(Gi 共役)を刺激してセロトニン神経の発火を抑制し、不安・緊張を緩和する。ベンゾジアゼピン系と異なり依存性・筋弛緩作用・鎮静が少なく、連用後の急な中止による離脱症状もほとんどない。効果発現まで数日〜2週間かかる点に注意。
【薬理学の本質】刺激するのになぜ抑えられる?「自己受容体」の仕組み
縫線核の 5-HT1A 受容体は、過剰な興奮を抑えるためのシナプス前自己受容体として機能する。タンドスピロンがこの受容体を刺激すると、Gi タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼが抑制され、細胞内 cAMP 濃度が低下する。これによりセロトニン神経自身に「これ以上セロトニンを放出するな」という陰性フィードバックがかかり、不安の引き金となる過剰な発火が鎮まる。「作動薬(アゴニスト)でありながら結果として神経活動を抑制する」というメカニズムを押さえておくと応用問題に迷わない。
縫線核の 5-HT1A 受容体は、過剰な興奮を抑えるためのシナプス前自己受容体として機能する。タンドスピロンがこの受容体を刺激すると、Gi タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼが抑制され、細胞内 cAMP 濃度が低下する。これによりセロトニン神経自身に「これ以上セロトニンを放出するな」という陰性フィードバックがかかり、不安の引き金となる過剰な発火が鎮まる。「作動薬(アゴニスト)でありながら結果として神経活動を抑制する」というメカニズムを押さえておくと応用問題に迷わない。
| 番号 | 作用点 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ドパミン D2 受容体 | D2 受容体遮断は抗精神病薬(ハロペリドールなど)の主な作用点。抗不安薬としては使われない。タンドスピロンは D2 受容体に対する親和性を持たない。 |
| 2 | γ-アミノ酪酸 GABAA 受容体 | GABAA 受容体のベンゾジアゼピン結合部位への作用はジアゼパムなどの抗不安薬の機序。速効性があり鎮静・筋弛緩・依存性が問題となる。タンドスピロンはこの受容体に作用しない。 |
| 3 | ニコチン性アセチルコリン受容体 | ニコチン性 ACh 受容体(NM・NN)への作用は筋弛緩薬・神経節遮断薬などに関わる。抗不安作用とは無関係であり、タンドスピロンの作用点ではない。 |
| 4 ★ | セロトニン 5-HT1A 受容体 | タンドスピロンの正答作用点。縫線核の 5-HT1A 受容体に対する部分作動薬として機能し、Gi タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼを抑制、セロトニン神経の発火を抑制することで抗不安効果を示す。依存性・筋弛緩作用がなく、長期使用に適している。 |
| 5 | ヒスタミン H1 受容体 | H1 受容体遮断は抗ヒスタミン薬(ヒドロキシジンなど)の機序で、鎮静・抗不安効果をもたらすが、依存性と眠気が問題となる。タンドスピロンは H1 受容体に作用しない。 |
引っかけポイント:
・選択肢1(D2 受容体):アリピプラゾールも 5-HT1A 部分作動薬+D2 部分作動薬を持つため、「D2 も関係するのでは」と混同しやすい。タンドスピロンは D2 受容体への作用を持たない純粋な 5-HT1A 作動薬。
・選択肢2(GABAA 受容体):「抗不安薬=ベンゾジアゼピン系=GABAA」という連想で誤答しやすい。タンドスピロンはセロトニン系に作用する非ベンゾジアゼピン系抗不安薬であり、機序が全く異なる。
・選択肢1(D2 受容体):アリピプラゾールも 5-HT1A 部分作動薬+D2 部分作動薬を持つため、「D2 も関係するのでは」と混同しやすい。タンドスピロンは D2 受容体への作用を持たない純粋な 5-HT1A 作動薬。
・選択肢2(GABAA 受容体):「抗不安薬=ベンゾジアゼピン系=GABAA」という連想で誤答しやすい。タンドスピロンはセロトニン系に作用する非ベンゾジアゼピン系抗不安薬であり、機序が全く異なる。
臨床メモ▼


薬剤師 あおい
タンドスピロンは「依存性がなく高齢者にも使いやすい抗不安薬」として実務でよく登場します。ただし効果発現まで数日〜2週間かかるため、患者さんへの説明が服薬継続のカギです。「すぐ効かなくても飲み続けてください」と一言添えましょう。
タンドスピロンの最大の強みは「依存性や筋弛緩作用(ふらつき)がなく、高齢者の転倒リスクを大幅に減らせる」点にあります。ベンゾジアゼピン系は骨格筋の運動を司る GABAA 受容体も同時に増強するため、夜間のトイレで足元をふらつかせて大腿骨を骨折するリスクが常に隣り合わせです。筋弛緩を伴わないセディール® は「ふらつきを起こさせたくない高齢者の不安神経症」にベストマッチです。
抗不安薬の主な機序を整理しておくと、理論・実務両方で即答できます。
| 系統 | 代表薬 | 作用点 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 5-HT1A 部分作動薬 | タンドスピロン(セディール®) | 5-HT1A 受容体(Gi)刺激 | 依存性・筋弛緩なし。効果発現に数日〜2週間 |
| BZD系 | ジアゼパム、アルプラゾラム | GABAA-BZD部位→Cl−開口頻度↑ | 速効性。依存性・筋弛緩・鎮静あり |
| H1 遮断(抗ヒスタミン) | ヒドロキシジン | H1 受容体遮断 | 鎮静が強い。眠気・口渇 |
| SSRI/SNRI | パロキセチン、ベンラファキシン | セロトニン(+ノルアドレナリン)再取り込み阻害 | 不安障害の第一選択。効果発現に2〜4週 |










