【第110回薬剤師国家試験】問327 大腿骨頸部骨折での緊急手術:術後に中止すべき内服薬の判断 解説

  • URLをコピーしました!
第110回 問327
第110回 問327
実践問題|実務
大腿骨頸部骨折での緊急手術:術後に中止すべき内服薬の判断
問327 問題文
68歳女性。夕方買い物に出かけた際に転倒し、救急車で整形外科病院に搬送された。

(入院時検査値)
血圧 142/93 mmHg、LDL-C 134 mg/dL、eGFR 60.5 mL/min/1.73 m2

下半身の痛みを訴えており、自力で立つことができない状態であった。レントゲン検査の結果、大腿骨頸部骨折と診断され、緊急で骨接合術が実施されることになった。主治医よりこの患者の服薬状況について、確認依頼があった。そこで薬剤師は、患者が携帯していたお薬手帳より、現在の内服薬の情報を入手した。
(お薬手帳の内容)
エルデカルシトールカプセル 0.5 μg
1回1カプセル(1日1カプセル)
1日1回 朝食後
ラロキシフェン塩酸塩錠 60 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後
アムロジピン錠 5 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後
ロスバスタチン錠 2.5 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後
スボレキサント錠 15 mg
1回1錠(1日1錠)
1日1回 就寝直前
術後、完全に歩行可能になるまで服用を中止すべき内服薬はどれか。1つ選べ。
1 エルデカルシトールカプセル —
2 ラロキシフェン塩酸塩錠 —
3 アムロジピン錠 —
4 ロスバスタチン錠 —
5 スボレキサント錠 —
◯
正解です!
正答:2
×
不正解です
正答:2
解説を見る(問327) ▼

本症例は、転倒により大腿骨頸部骨折を来し、緊急骨接合術を受ける68歳女性です。術後は疼痛や創部の問題から一時的に自力歩行が困難となり、長期臥床・不動状態に陥りやすい時期が生じます。この「不動化(immobilization)」の期間は、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症)のリスクが高まる時期でもあり、服用中の薬剤の中にこのリスクをさらに高めるものがないかを確認する必要があります。

選択肢2(正解):ラロキシフェン塩酸塩は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で、骨粗鬆症治療薬として広く使用されますが、静脈血栓塞栓症のリスクを増大させることが知られています。添付文書上も「長期不動状態(術後回復期を含む)」は禁忌とされており、手術や外傷等により長期に及ぶ不動状態にある患者には投与を中止する必要があります。したがって、完全に歩行可能になるまで本剤の服用は中止すべきです。
引っかけポイント:
選択肢1:エルデカルシトールは活性型ビタミンD3製剤であり、血栓リスクとは関係がなく、周術期に中止する必要はありません(高カルシウム血症には注意が必要ですが、本設問の趣旨とは異なります)。
選択肢3:アムロジピンはCa拮抗薬(降圧薬)であり、血栓リスクの増大や周術期の休薬理由とはならず、原則として継続します。
選択肢4:ロスバスタチンはHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)であり、血栓リスクの増大や不動化との関連はなく、周術期も継続可能です。
選択肢5:スボレキサントはオレキシン受容体拮抗薬(睡眠薬)であり、血栓塞栓症のリスクとは関係がありません。転倒・ふらつきへの注意は必要ですが、本設問の「完全に歩行可能になるまで中止すべき」根拠には該当しません。
あおい先生
あおい先生の臨床メモ
「ラロキシフェン=SERM=血栓リスク増大=長期不動状態は禁忌」という組み合わせは国試の頻出ポイントです。骨折・手術で動けなくなる患者さんのお薬手帳を確認するときは、まずSERM(ラロキシフェン・バゼドキシフェン)が入っていないかをチェックする癖をつけておきましょう!
第110回 薬剤師国家試験 解説トップへ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次